交通事故の加害者が任意保険に未加入だったら慰謝料請求はどうなる?

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加害者が任意保険に未加入の場合の賠償金請求

交通事故被害に遭うと、加害者が加入する任意保険会社から賠償金が支払われます。しかし、日本損害保険協会の統計によると、2018年度の任意保険加入率は約75%で、約25%のドライバーは任意保険に加入していません。この場合、治療費や慰謝料などの賠償金はどうなるのでしょうか?
ここでは、加害者が任意保険に未加入の場合の賠償金の請求についてご説明します。

任意保険未加入の場合、賠償金は請求できる?

交通事故の加害者が任意保険に加入していない場合(任意保険未加入のことを無保険とも言います)、相手方の任意保険から賠償金を受け取るという一般的な請求方法はできなくなってしまいます。

加害者が任意保険に未加入の時は、賠償金は加害者の自賠責保険に請求することになります

この場合、被害者自身が請求手続きを行う被害者請求という方法で賠償金を請求することをおすすめします。

被害者請求は加害者の同意なく手続きが進められるため、早く保険金を受け取ることができます。

これだけ聞くと、結局は加害者側から賠償金を受け取ることができて変わりないようにも見えますが、加害者が任意保険未加入のケースでは、被害者に大きなデメリットがあります。

それは、自賠責保険は最低限の補償をする制度で、支払われる金額に上限が定められているということです。

任意保険に比べ、受け取ることができる賠償金額がとても低額になってしまいます。

自賠責保険における賠償金の上限金額

傷害に対する補償 上限額120万円
後遺障害に対する補償 後遺障害等級に応じて
75万円〜4000万円
死亡事故に対する補償 3000万円

傷害に対する補償には、治療費休業損害入通院慰謝料などがすべて含まれます。

任意保険の場合は、実際に発生した損害額に応じて上限なく請求することができますが、自賠責保険では、どれだけ損害額が大きくても120万円以上は請求できません

大きなケガをした場合、治療費や休業損害の1項目だけで120万円以上となり、十分な補償を受け取ることができないケースが多くなってしまいます。

また、自賠責保険に賠償金を請求する場合は、示談交渉はないものの、難しい手続きをしなければなりません。

自賠責保険への請求については、下記をご覧ください。

120万円を超えないようにするには?

必ず防げるわけではありませんが、健康保険の利用は120万円を超えるリスクを減らすことに繋がります。

健康保険を利用すると、健康保険を利用しない場合(自由診療)に比べて治療費を安く抑えることができるからです。

治療費の負担が減り、賠償金の合計金額が120万円以下になれば、損をすることや、余計な手続き、請求をする手間がなくなりますので、加害者が任意保険未加入なら健康保険を使って通院することを検討しましょう。

健康保険を使用しての治療・通院に関しては、下記で詳しくご説明しています。

自賠責保険の上限額を超過したらどうすればいい?

自賠責保険の上限額を超過した場合

損害額が自賠責保険の上限額120万円を超えてしまっても、「諦めるしかない」というわけではありません。

超過分の賠償金を受け取る方法がいくつかありますのでご紹介します。

自分が加入する任意保険から補償を受け取る

被害者が無保険車傷害保険人身傷害補償保険などの保険や特約に加入していると、被害者自身が加入する任意保険会社から補償を受け取ることができます。

また、被害者が運転をしない方の場合でも、家族が加入している任意保険で補償を受けることができる可能性もあります。

詳細は加入内容によって異なりますので、ご自身が加入している保険の内容を確認し、保険会社にお問い合わせください。

労災保険を利用する

仕事中に交通事故被害に遭った場合は、労災保険も利用することができます。

ただし、自賠責保険と労災保険の両方から補償を受け取ることはできませんのでご注意ください。

詳しくは、交通事故における労災保険の利用に関してご説明している記事をご覧ください。

超過分を加害者自身に請求する

自賠責保険の上限額120万円を超過した分を、加害者に直接請求することもできます

この場合、加害者と直接、示談交渉を行う必要があります。

加害者が超過分の支払いを認めれば、加害者自身からも賠償金を受け取ることができますが、認めないことも多く、それでも請求したい場合は、訴訟をすることになります。

このケースはトラブルになりやすく、示談交渉や請求額の計算では専門的な知識も必要となりますので、加害者への請求は専門家に相談することをおすすめします。

後遺障害等級の申請手続きはどうなる?

加害者が任意保険に未加入のケースでは、後遺症が残った際の後遺障害等級の申請手続きを、保険会社に任せることはできません。

被害者自身が申請手続きを行う必要があります

後遺障害等級の認定は、特に専門的な知識を必要とする手続きで、対応を誤ると非該当となることや、実際の症状とは異なる等級が認定されてしまう恐れもあります。

等級によって後遺障害慰謝料、逸失利益の金額が大きく変わりますので、申請を行う前に交通事故の専門家に相談するようにしましょう。

まずは加害者の自賠責保険にきちんと請求

このように、加害者が任意保険未加入の場合、賠償金の請求方法は大きく変わります。

治療費がかさまないように健康保険を使って通院し、慰謝料や休業損害などを自賠責保険に対して請求していきましょう。

加害者の自賠責保険だけでは損害を補えない時は、加害者自身への請求などをご検討ください。

加害者が任意保険未加入だったことが理由で、最低限の賠償金しか受け取れなかったり事故被害者の対応が増えてしまったりすることに納得できないと思いますが、少しでも補償を受けられるように、適切な対応をとっていきましょう。