交通事故の調査会社が入るとどうなる?被害者への影響と気をつけたいNG対応

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保険会社が調査会社に依頼した場合

「事故当時の状況については、第三者機関に調査を依頼します」と、保険会社に言われた方もいるのではないでしょうか?交通事故では、加害者の保険会社が調査会社に依頼し、調査会社が交通事故について詳しく調べることがあります。
保険会社が調査会社に依頼すると、事故被害者にどのような影響があるのか。調査会社の役割、保険会社の狙い、事故被害者の対応などを整理していきましょう。

交通事故の調査会社とは?

加害者の保険会社とやりとりをする中で、保険会社が調査会社に依頼することがあります。

調査会社は、交通事故当時の運転者の状況、道路状況などを調査する民間企業で、主に保険会社から依頼を受けます。

交通事故当時の状況の調査だけでなく、不正に保険金が請求されていないか、医療機関はどのような判断しているかなどの調査も行います。

調査をするのは交通事故調査のプロ?

調査会社は、依頼を受けた交通事故について、調査員が詳しく調査を行います。

そのため、調査員は交通事故にとても詳しい専門的な職業の人を想像するかもしれません。

しかし、大手の調査会社のWebサイトに掲載されている調査員の求人を確認すると、応募要件などに交通事故に関する深い知識が必要とは書かれていません。

また、調査員の体験談には、未経験からはじめたと受け取ることができる内容が掲載されています。

必ずしも、交通事故に詳しい人が調査を行なっているとは限らないようです

総合分析センター、交通事故鑑定人は別の機関?

交通事故の調査会社と似ている機関で、「交通事故総合分析センター」、「交通事故鑑定人」があります。

交通事故総合分析センターは、交通事故の調査分析を通じて安全な交通社会に貢献することを目的としている公益財団法人です。

交通事故の調査を行う点では調査会社と同じですが、保険会社から依頼を受けているわけではありませんし、また、違反や過失の責任を追及することもありません。

交通事故鑑定人は、事故状況の調査を行う企業です。

ただし、保険会社ではなく事故の当事者から依頼を受ける企業が、鑑定人と呼ばれることが多いです。

大きな交通事故が発生した際にテレビに出演していることもあり、見聞きしたことがある人もいるかもしれません。

元警察官や、交通事故について研究している人が在籍していることが多いのも特徴です。

保険会社が調査会社に依頼する理由

加害者の保険会社が調査会社に依頼して詳しく調査するのは過失割合が問題となる場合が多いです。

すでに調査会社が介入している方は、保険会社との間で過失割合について見解の相違が発生していませんか?

保険会社は、被害者と過失割合の主張が食い違っている場合に、自分たちの主張の根拠を用意するために調査会社に依頼をします。

また、稀なケースでは、被害者が慰謝料目的でわざと交通事故にあった当たり屋ではないかと疑い、不当な請求をされていないか確認するために依頼することもあるようです。

調査は事故被害者にどう影響する?

保険会社が調査会社に依頼をすると、事故被害者にはどのような影響があるのか整理していきましょう。

調査では現場検証や事故の当事者、警察への聞き取りなどが行われ、聞き取りは事故被害者に対しても行われます。

調査協力をお願いされたら対応するようにしましょう。

調査終了後は、調査結果をまとめた報告書が保険会社に渡され、保険会社は報告書の内容をもとに過失割合などの主張を行ってきます。

調査会社への依頼は事故被害者にもメリットはある?

保険会社が調査会社に依頼をしても事故被害者にメリットはありません。

調査会社は第三者機関ではあるものの、保険会社が株主となっている会社もあり、中立的な立場とは言えません。

また、保険会社から依頼を受け、報酬をもらっていますので、保険会社側の立場と言っていい存在です。

そのため、保険会社にとってメリットのある(加害者側の過失を軽くすることに使える)調査結果にはなっても、事故被害者にメリットのある調査結果になることはほとんどないでしょう

事故被害者が不利になるNG対応

事故被害者のNG対応

では、保険会社が調査会社に依頼した際に、事故被害者はどう対応すればいいのでしょうか?

誤った対応すると事故被害者が不利な状況になってしまいます。

そうならないために、保険会社が調査会社に依頼した際に事故被害者がやってはいけないNG対応をまとめました。

1.調査協力の拒否

事故被害者にメリットがないなら、調査会社に協力したくないと考えるかもしれません。

しかし、調査協力の拒否はおすすめできません。

事故被害者がヒアリングを拒否すると、加害者の一方的な言い分だけで調査が行われ、事故被害者に不利な報告書が作成されてしまいます。

2.曖昧な回答や嘘の回答

ヒアリング時の曖昧な回答は禁物です

相手にとって都合がいいように受け取られる可能性があります。

都合が悪いことを隠そうとして嘘をつくのも、もちろんダメです。

後々に嘘だったとわかると、示談交渉で不利になるおそれがあります。

聞かれたことに対して、「合っている」、「間違っている」、「わからない」など、明確に回答しましょう。

3.調査結果を安易に信じること

調査結果をもとにした保険会社の主張は、事故被害者に不利な内容になっている可能性があります。

調査結果を信じて示談に応じると、低額の慰謝料で示談することになりかねません。

調査結果がすべてではありませんし、調査員が専門的な人ではない場合、調査内容に疑問も残ります。

少しでもおかしいと思うことがあれば、弁護士などの専門家に相談し、調査結果を覆す反論をしていきましょう。

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交通事故鑑定人に依頼するメリットはある?

交通事故鑑定人に依頼するメリットとデメリット

保険会社が調査会社を使って示談交渉を有利に進めようとするように、事故被害者も専門家に依頼するという選択肢があります。

慰謝料や示談交渉の相談相手には弁護士がいますが、過失割合の悩みを交通事故鑑定人に相談したいと考える人もいるかもしれません。

鑑定人に依頼し、結果が大きく覆ったという話を見聞きすることがあります。

「被害者のはずなのに加害者扱いされている」、「過失割合で保険会社と大きなズレがある」といった状況では、鑑定人が大きな力となるケースもあるようです。

しかし、依頼は慎重に判断をしたほうがいいでしょう。

弁護士や司法書士と違って鑑定人には資格がなく、誰でも交通事故鑑定人になれます。

そのため、調査やサービスの質が良いところばかりとは限りません。

相談する相手を間違え、満足な調査をしてもらえずにトラブルなってしまったケースもあるようです。

また、鑑定人に示談交渉や裁判の代理人をお願いすることはできません。

調査結果を活用して保険会社に主張をするなら、弁護士のサポートも必要です。

先に依頼する弁護士を決めて、その弁護士と、鑑定人への依頼が必要か相談して決めるのが良いでしょう。

弁護士は交通事故の状況を確認した上で、妥当な過失割合を判断することができます。

鑑定人に依頼をしなくても、弁護士の示談交渉で過失割合が変更される可能性もあります

なお、鑑定人の費用を弁護士費用特約で支払えると説明されていることがありますが、これは保険の契約内容によって異なる可能性があります。

弁護士費用特約がどこまで使えるか、あらかじめ保険会社に確認しましょう。

納得できないときは、被害者にも味方を

調査会社は、事故被害者の味方ではありません。

保険会社が調査会社に依頼したことをそのままにしておくと、自分に不利な条件で示談交渉が進むおそれがあります。納得できないことがあれば、早めに弁護士に相談することが大事。

相手のペースで交渉が進んで示談してしまわないように気をつけてくださいね。