交通事故の被害者は加害者が加入している保険会社と示談交渉を行うことになります。すでに保険会社から慰謝料の提示を受けている方のほとんどが、「金額が安すぎる」と感じているのではないでしょうか。
どうしてそのような低い金額の提示になるか、金額上げるにはどのように示談交渉を行えばよいか、事故被害者が知っておきたいことやコツを解説します。
交通事故の示談金の決まり方を確認
まず、交通事故の示談金はどうやって決まるかを確認しましょう。
イレギュラーなケースはありますが、おおむね損害額と過失割合の確定によって決められます。
交通事故における損害額の確定
まず、交通事故における損害額を決めます。
交通事故によって発生した損害を相手に請求をすることができますが、その金額がいくらかを決める必要があります。
損害の中にも細かい内訳があるのですが、治療費や通院のための交通費のような客観的にわかりやすいものから、慰謝料がいくらなのかといった確定しづらいものまであります。
相手に請求できる賠償項目については、下記のページでご説明しています。
交通事故の過失割合の確定
交通事故で発生した損害の金額が決まったとしても、常にその全額を受け取れるわけではありません。
事故被害者にも過失がついているようなケースでは、過失の分だけ損害額が差し引かれます(法律では過失相殺といいます)。
そのため、交通事故の示談交渉においては、どちらにどれくらいの落ち度があったかという過失割合を確定することも重要となっています。
たとえば、300万円の損害があると認定されて過失割合が80:20となった場合には、示談成立後に損害賠償として支払われるのは240万円になります。
過失割合については裁判例などの蓄積がすすんでおり、交通事故の詳細(当事者が何に乗っていたか・道路の状況・信号の有無など)によって、当事者のどれくらいの割合の過失が認定されるかが定型化されており、個別の事情で修正する方法が採られています。
保険会社が提示する交通事故の示談金は低い!その理由を確認
交通事故で示談をした場合に相手に請求をすることができる金額は、ほとんどのケースで裁判をしたときに認定される金額より低いです。
その理由について確認しましょう。
損害額の計算において保険会社基準で計算をしてくる
損害額の確定においては、治療費や通院交通費のような客観的なものから、交通事故が原因の精神的苦痛といった人の感覚が入るものまで多様な内訳があります。
客観的なものについてはごまかしようがないですが、慰謝料のような客観的に決めるのが難しい項目については、交渉によって金額が変わりやすくなっています。
損害を計算するための基準については、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準という3つの基準があります。
自賠責基準は、自賠責保険で決められている金額です。
任意保険基準は、保険会社独自の基準で、保険会社は任意保険基準を用いて慰謝料などの金額を提示していきます。
裁判基準は弁護士基準とも呼ばれ、裁判をすれば裁判所に認定してもらうことができる金額で、3つの基準の中でも一番高いものになります。
つまり、保険会社が提示してくる金額は裁判基準よりも低く、示談交渉では裁判基準に則った金額を提示して反論をすることで、金額を増額できる可能性があります。
この3つの基準の詳細や慰謝料の計算方法などは、下記の記事でご説明しています。
被害者の過失割合が重くなっている
損害額以外にも、過失割合が原因で示談金が低いこともあります。
交通事故の被害者にも過失がつくケースはありますが、相手保険会社は、被害者の過失を本来より重く主張してくる可能性があります。
たとえば、青信号の交差点を直進していたところ、対向車線から同じく青信号で交差点に入ってきて右折しようとした車と衝突したとします。
このような右折事故では、右折をしている車に多くの過失が認められ、右折車80:直進車20の過失割合が認定されるのが一般的です。
通常であれば、保険会社は右折事故の過失割合の主張において、80:20の過失割合を主張するはずにもかかわらず、「加害者に落ち度がないので損害賠償に応じられない」、「車に乗っている以上、直進車でも注意する義務がある」、「直進車の信号が黄色になっていたのではないか」など、被害者が不利になるような主張をし、一般的なケースよりも被害者の過失を重く提示するケースがあります。
そのため、交通事故被害者は、自分の事故ではどのような過失割合が適切かを把握し、保険会社の提示がおかしい場合は、どう修正すべきかを精査して指摘していくことで、過失割合の修正が認められ、受け取る賠償金額が増える可能性があります。
弁護士に示談交渉を依頼すると賠償金増額が期待できる
示談交渉を有利にすすめ、より多くの賠償金を獲得するには弁護士に依頼するのがオススメです。
その理由は次の通りです。
法的なサポートを受けることができる
個人で慰謝料請求をする場合には、交通事故実務、損害賠償請求、各種法的手続きを勉強して相手と示談交渉する必要があります。
弁護士であれば、これらの知識や技術を持ち合わせています。
そのため、弁護士に依頼をすれば、自分で学ばなくても安心して慰謝料請求を行うことができるのです。
保険会社との交渉を任せることができる
交通事故の示談で大変なのは知識が必要であることだけではなく、保険会社との交渉が挙げられます。
加害者の保険会社としてはできる限りお金を払いたくないわけですから、交渉も厳しい態度で臨んできます。
交通事故の被害にあい、場合によっては後遺症に苦しみリハビリを頑張る中で、保険会社とシビアな交渉を強いられるのは、精神的に応えます。
しかも、交通事故の損害賠償について勉強しないと、保険会社と対等に交渉することはできません。
そのため、自分で示談交渉をした被害者の多くは、保険会社が主張する低い示談金で示談に応じてしまうのです。
弁護士に依頼をすれば、直接交渉をする必要がなくなりますので、精神的にも楽になるという効果があります。
弁護士費用特約に入っていれば弁護士費用がかからない
弁護士に依頼する際に気になるのは、弁護士費用がかかることではないでしょうか。
もちろん弁護士に依頼をする際には弁護士費用がかかるのですが、もし自分の加入している保険に弁護士費用特約がついていれば、弁護士を依頼するための費用がかからないケースがほとんどです。
弁護士への相談・依頼を悩んでいるのであれば、加入する自動車保険に連絡をして、弁護士費用特約の有無について調べてみましょう。
弁護士特約については、下記の記事で詳しくご説明しています。
妥当な慰謝料を受け取るなら弁護士に相談
示談交渉において賠償金を上げるための交渉のコツについてお伝えしてきました。
保険会社が提示してくる賠償金はほとんどのケースで相場よりも低く抑えられています。
弁護士に相談・依頼をしてより高い金額の賠償金を獲得して、生活の不安を取り除きましょう。