過失割合が10対0になる交通事故の事例。慰謝料請求で損をしないポイント

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過失割合が10対0になる交通事故の事例。慰謝料請求で損をしないポイント

交通事故が発生した際、加害者と被害者に責任がある場合と、加害者にしか責任がない場合があります。
加害者にしか責任がない状況を割合を用いて、「過失割合10対0」と表します。
過失割合10対0とそうでない事故では、どのような違いがあるのでしょうか。
また、どんなケースの交通事故の過失割合が10対0になるでしょうか。

この記事では、過失割合10対0の交通事故についてまとめています。
交通事故の被害に遭い、過失割合が気になる方や、過失割合を10対0にしたい方は、この記事を参考にしてみてください。

交通事故の過失割合で大切なこと

まず、過失割合について重要な内容をまとめました。
今回は過失割合の中でも、10対0の事例に焦点を当てて解説していきます。

  • 過失割合とは、交通事故の責任を割合で表したもの
  • 被害者に責任がない事故は、過失割合が10対0になる
  • 9対1や8対2の場合でも、状況次第で10対0に変更できる
  • 法律上、10対0の時だけ、被害者側の保険会社は示談交渉を代行できない
  • 加害者側の保険会社と交渉する際は、足元を見られないように弁護士に相談したほうがよい

この記事で、ポイントごとにそれぞれ詳しくご説明します。

過失割合とは?過失の決め方や慰謝料請求への影響

交通事故における過失割合とは、いったい何のことでしょうか。
また、誰がどうやって決めて、慰謝料にどう影響を与えるのか説明します。

過失割合とは、事故の責任の度合い

過失割合とは、「交通事故の責任度合い」を意味し、どちらにどれくらい責任があるのかを割合で表したものです。
交通事故は前方不注意やスピードの出し過ぎなど当事者の不注意で発生します。
両者とも不注意をしている場合もありますし、どちらか片方のみに不注意がある場合もあります。
より注意を怠っていたほうが重い責任を負うことになります。

過失割合は誰が決める?

過失割合は当事者同士で話し合いを行い、合意によって決まります。
加害者側の保険会社が、過去の裁判例をもとに算定した金額を提示し、被害者側が納得できなければ交渉を行います。
交渉の際は、過去の裁判例や事故の状況をもとに過失割合の変更を請求する必要があり、専門的な知識が必要になりますので、正しい過失を認めてもらうには、弁護士に交渉を代行してもらうほうが良いでしょう。

過失相殺で受け取る慰謝料が減額される

過失割合は慰謝料の金額に影響を与えます。
両者に過失があった場合、過失が相殺され、受け取れる慰謝料が減額します。
具体的には、過失割合が8対2で減額前の慰謝料が100万円の場合、100万円×80%=80万円の慰謝料しか受け取れません。
過失相殺で被害者側の過失割合分の慰謝料が差し引かれるのです。
過失相殺で慰謝料が減額されると、ケガの治療費や車の修理費を全額補償されないため、過失割合10対0が認められる可能性があるケースでは、できるだけ10対0の過失割合を目指すほうがよいでしょう。

過失割合が10対0になるケース(自動車対自動車)

いったいどのようなケースで10対0になるのでしょうか。
まず、「自動車」対「自動車」の事故で過失割合が10対0になるケースを紹介します。

  • 追突事故
  • 信号無視の事故
  • 右折矢印での右直事故
  • 駐車場での事故
  • センターラインを越えた車との正面衝突

それぞれ図を用いてわかりやすく説明します。

追突事故

追突事故とは、路肩や信号待ちで停車している被害者側の自動車に加害者の自動車が後ろから衝突する事故です。
信号待ちで停車している際に後続車に追突される事故は、過失割合10対0の代表的なケースといえ、このように被害者が停車中で追突されるケースでは、過失割合10対0となることが多いです。
加害者側には前方不注意や車間距離の不保持の過失が認められます。

ただし、危険を回避するためのやむを得ない状況以外で、被害者側が急ブレーキをかけて衝突した時は、被害者側にも過失があると判断されることもあります。

追突事故のイメージイラスト

信号無視の事故

赤信号を無視した自動車と衝突した場合も、過失割合は10対0になる可能性が高いです。
反対に、信号のない交差点では、片方に重大な過失(飲酒など)がない限りは10対0になりにくいです。

右折矢印に従った右直事故

右直事故とは、右折車の対向車が直進して衝突する事故です。
両者が青信号で衝突した場合、過失割合は右折車8対直進者2となるケースが一般的です。
その例外として、直進者の信号が赤で、右折車が右折矢印に従って右折していた場合、過失割合は直進者10対右折車0となる可能性が高いです。
この場合、直進者は信号無視と同じ扱いになり、右折車の過失はなかったと判断されます。
右直事故は、直進者が青信号だったか赤信号だったかによって過失割合が大きく変わります。
交差点進入時の信号の変わり具合で被害者と加害者が逆転することもあるため、事故当時のお互いの信号の状況を確認しましょう。

右折矢印に従った右直事故のイメージイラスト

駐車場での事故

被害者の自動車がすでに駐車場の駐車スペースに停まっている状態で衝突された場合、過失割合は10対0となります。

駐車場での事故のイメージイラスト

センターラインをはみ出した車との正面衝突

対向車がセンターラインをはみ出したことで正面衝突した場合、はみ出した自動車に過失があるとされ、過失割合が10対0になることがあります。
ただし、道路工事などでセンターラインをはみ出さなければならなかったり、道路標識ではみ出しを認めていたりする場合は、被害者側にも過失があると判断されることがあります。

過失割合が10対0になるケース(自動車対歩行者)

自動車と歩行者の事故が起こった場合、自動車の過失割合のほうが高いです。
その中でも、10対0になるケースは、どのような状況でしょうか。

  • 横断歩道上の歩行者と直進車
  • 横断歩道上の歩行者と右左折車
  • 信号機のない横断歩道上の歩行者と自動車
  • 歩道上の歩行者と自動車
  • 歩道のない道路の右端を通行する歩行者と自動車

それぞれ図を用いて説明します。

横断歩道上の歩行者と直進車

青信号の横断歩道上の歩行者と直進車の事故は、過失割合が10対0になり、歩行者に過失はないとされます。
ただし、歩行者が赤信号で横断歩道に進入した場合は、10対0にならないケースが多いです。

青信号の横断歩道上の歩行者と直進車の事故のイメージイラスト

横断歩道上の歩行者と右左折車

青信号の横断歩道上の歩行者と右左折車との事故も、過失割合は10対0で右左折車の過失になります。
ただし、歩行者が横断歩道から出ていた場合などは、歩行者にも過失がつくことがあります。

青信号の横断歩道上の歩行者と右左折車との事故のイメージイラスト

信号機のない横断歩道上の歩行者と自動車

信号機のない横断歩道では、歩行者が優先です。
この場合も過失割合は10対0で、自動車だけに過失があると判断されます。
横断歩道を通過する車は、とても注意して通過しなければなりませんが、状況によっては歩行者に過失がつく可能性もあります。

信号機のない横断歩道上の歩行者と自動車との事故のイメージイラスト

歩道上の歩行者と自動車

歩道を通行している歩行者と自動車が接触した場合、過失割合は10対0になります。
歩道は歩行者優先のため、歩行者に過失がつくような事情がない限りは自動車だけに過失がつきます。

歩道を通行している歩行者と自動車との事故のイメージイラスト

歩道のない道路の右端を通行する歩行者と自動車

歩道のない道路の右端を通行している歩行者と自動車が接触した場合、過失割合は10対0になる可能性が高いです。
歩行者が左端を通行していた時は、歩行者にも過失がつくこともあります。

歩道のない道路の右端を通行する歩行者と自動車との事故のイメージイラスト

わずかな違いで、過失割合9対1や8対2が10対0に変わることもある

ここまで過失割合が10対0になるケースを紹介してきましたが、9対1や8対2の場合でも事故の状況によっては、10対0に変わることもあります。
過失割合を変化させる可能性がある事情を、「修正要素」と言います。
自動車の過失割合を高める修正要素はこちらです。

  • 徐行なし
  • 左右折禁止違反
  • 直近左右折
  • 早回り左右折
  • 大回り左右折
  • 速度超過
  • 前方不注意
  • ウィンカー無し
  • 著しい過失・重過失

ここでいう「著しい過失」とは、自動車を運転する時に通常期待される限度を超える過失のことを指します。
また、「重過失」は、著しい過失よりもさらに重く、故意と同視される事情です。
著しい過失と重過失の代表的なものをこちらの表でまとめているので参考にしてみてください。

著しい過失 重過失
酒気帯び運転 酒酔い運転
脇見運転 居眠り運転
運転中のスマホ使用 無免許運転
15~30km/h程度の速度超過 30km/h以上の速度超過
ハンドル、ブレーキの操作不適切

10対0だと過失相殺はないけど、保険会社が対応してくれない

過失割合10対0の交通事故における、被害者のメリットとデメリットを紹介します。

10対0のメリット:過失相殺で慰謝料が減ることはない

過失割合10対0の被害者のメリットは、過失相殺がないため慰謝料の減額がないことです。
そのため、ケガの治療費は全額補償される可能性が高く、慰謝料や休業損害なども決定した金額から減額されることはありません。

10対0のデメリット:自分の保険会社に対応してもらえない

デメリットは、被害者側の保険会社が交渉を代行できないことです。
弁護士法72条により、弁護士以外の方は他人のために法律事務をできません。
被害者にも過失がつく場合は、被害者側の保険会社も過失分の慰謝料を支払う義務があるので、自身のために示談交渉を行えます。
しかし、10対0の被害者の示談交渉は、被害者のためだけの法律事務にあたるため、保険会社は代行できません。

そのため、過失割合が10対0の場合、被害者自身で加害者側の保険会社と示談交渉する必要があります。
保険会社は裁判例よりも低い慰謝料を提示してきたり、事故状況を加害者にとって有利に判断したりすることも多く、被害者は不利になり補填に十分な慰謝料が受け取れなくなります。

10対0の時こそ弁護士に相談するメリットがある!

過失割合が10対0の事故は、弁護士に依頼することをおすすめします。
保険会社に対応してもらえず自分で交渉しようとすると、手間がかかるだけでなく、示談交渉に失敗し相場より低い慰謝料になる可能性があります。
交渉には専門知識が必要なので、自分一人での交渉は難しいでしょう。
過失割合が10対0の時こそ、弁護士に相談し、妥当な金額の慰謝料を受け取りましょう。

過失割合に関するお悩みは弁護士に相談を

この記事では、過失割合が10対0になる場合の交通事故について説明しました。
10対0になることで慰謝料を減額されないというメリットがありますが、一方で被害者側の保険会社に示談交渉を代行してもらえないというデメリットもあります。
そんな時は、弁護士に交渉を一任し、より高額の慰謝料を受け取れる可能性をご検討ください。
過失割合が10対0で弁護士に示談交渉を任せたい方や、過失割合を10対0に変えたい方は、一度弁護士へのご相談をおすすめします。