交通事故後に悩まされる腰痛。原因として多いのが腰椎捻挫です。腰椎捻挫は、腰の痛みだけでなく、脚の痛みやしびれが伴うこともあり、治療を行っても完治せずに後遺症が残ってしまう可能性もあります。
交通事故で腰椎捻挫と診断された際に支払われる慰謝料や認定される後遺障害等級、示談までのポイントなどを確認していきましょう。
腰椎捻挫はどのような交通事故で発症する?
腰椎捻挫は、交通事故で腰に大きな衝撃が加わることで発症するケガで、追突事故をはじめ、さまざまな事故で発症する可能性があります。
主な症状は腰痛で、歩行や重いものを持つことが辛くなることがあります。
また、腰痛だけでなく、脚に痛みやしびれが伴うこともあります。
腰椎捻挫はむちうちの一種?
腰椎捻挫と関係性の深いケガで頸椎捻挫があります。
頸椎捻挫はむちうちのことで、首に強い衝撃が加わることで発症をします。
交通事故では、頸椎捻挫と腰椎捻挫を同時に発症するケースも多いです。
2つのケガは、症状や治療方法、認定される後遺障害等級などに共通点もあることから、腰椎捻挫もむちうちの一種として説明しているWebサイトなども時々見受けられます。
ただし、正確には異なるケガです。
同じ脊柱(背骨)のケガでも、頸部の負傷が頸椎捻挫、腰部の負傷が腰椎捻挫となります。

頸椎捻挫の症状も見られる方は、下記の記事もご参考ください。
腰椎捻挫の治療方法は?
交通事故以前はなかった腰の痛みを感じたら、早めに病院へ行きましょう。
事故後、数日経ってから痛みを実感することもありますので、腰痛などの症状が後から出た場合は、すぐに病院で診察を受けてください。
腰痛は日常生活でもあり得るケガで、実はぎっくり腰も腰椎捻挫です。
そのため、交通事故から診察までに時間が経っていると、「腰の痛みは交通事故が原因ではない」と相手保険会社に事故との因果関係を否定され、慰謝料請求でトラブルになる可能性がありますので気をつけましょう。
ケガの治療中は、腰に負担をかけないように生活することが大切です。
医師の判断で、痛み止めの服用や湿布の使用、コルセットの装着を行うこともあるようです。
また、むちうちと同じように整骨院の施術が腰痛の回復に効果的なケースもありますので、整骨院に通院したい場合は、医師に許可をもらうようにしてください。
なお、治療期間は人によって異なり、長い場合は数ヶ月間かかります。
腰椎捻挫で後遺症が残ったら
整形外科や整骨院への通院を続けても、腰痛などの症状が完治せずに症状固定となり、後遺症が残ることがあります。
腰椎捻挫で後遺症が残った場合は後遺障害の等級認定を行いましょう。
腰椎捻挫では、下記の後遺障害等級の認定を受ける可能性があります。
腰椎捻挫で認定される後遺障害等級
後遺障害等級 | 認定の条件 |
---|---|
後遺障害12級13号 | 画像検査で他覚症状を確認できた場合 |
後遺障害14級9号 | 自覚症状のみの場合 |
後遺障害12級13号は、画像検査で腰椎捻挫の症状を確認できる場合に認定されますので、レントゲンやMRIなどの画像検査をしっかりと受けておきましょう。
ただし、他覚症状を確認できないことが多く、後遺障害12級13号の認定が見込めるケースは少ないです。
そのため、多くのケースでは後遺障害14級9号の認定を目指して申請を行います。
その後遺障害14級9号も、自覚症状があれば必ず認定されるわけではありません。
非該当と判断されることもあります。
等級の認定を受けるには、医師に適切な後遺障害診断書を作成してもらうなど、万全の準備をした上での申請が欠かせません。
腰椎捻挫以外の後遺症もあるケース
腰椎捻挫だけでなく、むちうちや骨折などのケガでも後遺症が残ってしまうこともあります。
複数のケガで後遺症が残り、2つ以上の後遺障害等級が認定された場合、「後遺障害併合○級」と扱われることになります。
後遺障害等級が併合の場合、重いほうの等級に合わせて併合がつき、13級以上が2つ以上あると、認定結果によって併合の等級が1〜3級繰り上がります。
たとえば、腰椎捻挫で後遺障害14級、ほかの後遺症で後遺障害9級が認定されたなら、後遺障害等級併合9級となります。
腰痛捻挫の後遺障害が14級の場合は大きな影響はありませんが、12級の場合は等級が繰り上がる可能性があります。
そのため、他覚症状が確認できる場合は、後遺障害12級の認定を受けることがとても大切です。
腰椎捻挫で支払われる交通事故慰謝料はいくら?
腰椎捻挫では、ケガに対する慰謝料として入通院慰謝料を請求でき、後遺障害等級の認定を受けた場合は、後遺障害慰謝料も請求可能となります。
それぞれの慰謝料の金額をみていきましょう。
腰椎捻挫の入通院慰謝料の相場
入通院慰謝料は、入院や通院をしていた期間などで金額が決まります。
金額の算出には、自賠責基準(自賠責保険に請求する際に使用)、任意保険基準(任意保険が独自に設定)、裁判基準(弁護士が慰謝料請求時に使用)という3つの基準があります。
ここでは裁判基準の金額と、示談交渉をした場合の相場をご紹介します。
期間 | 裁判基準 | 相場 |
---|---|---|
1ヶ月 | 19万円 | 15万2000円 |
2ヶ月 | 36万円 | 28万8000円 |
3ヶ月 | 53万円 | 42万4000円 |
4ヶ月 | 67万円 | 53万6000円 |
5ヶ月 | 79万円 | 63万2000円 |
6ヶ月 | 89万円 | 71万2000円 |
- 裁判基準は「民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準」を参照し、通院のみで算出。
- 相場は裁判基準の8割で算出したものです。
- 1ヶ月は30日で計算しています。
上記は、ケガが腰椎捻挫のみで、交通事故後に通院で治療した場合の入通院慰謝料です。
画像検査で腰椎捻挫を確認できたり、他のケガでも入通院をしていたりするケースでは、慰謝料の金額が異なることがあります。
慰謝料の相場は裁判基準の金額の8割〜9割程度です。
任意保険基準の慰謝料は相場よりも低額なケースが多く、示談交渉では、相場や裁判基準の金額を目安にして保険会社と増額交渉を行います。
腰椎捻挫の後遺障害慰謝料の相場
後遺障害慰謝料の金額は、認定される後遺障害等級で変わります。
腰椎捻挫で認定されるのは後遺障害等級12級13号と14級9号です。
それぞれの等級の裁判基準の金額と相場を確認しましょう。
後遺障害等級 | 裁判基準 | 相場 |
---|---|---|
12級13号 | 290万円 | 230万円〜290万円 |
14級9号 | 110万円 | 90万円〜110万円 |
- 裁判基準は「民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準」を参照。
- 相場は裁判基準の8割から10割で算出したものです。
後遺障害慰謝料も、保険会社から提示される金額は相場以下のことが多いです。
後遺障害等級が併合で認定された場合は、上記よりも高額の後遺障害慰謝料が認められる可能性があります。
また、腰痛の後遺症が仕事や家事に影響している場合は逸失利益の請求も可能です。
逸失利益の金額は、1年間の損害額や年齢、労働能力喪失率などをもとに算出します。
以前から腰痛持ちの場合、保険会社から既往症(交通事故以前から発症しているケガ)を理由に逸失利益の減額を主張されることがあります。
本当に腰椎捻挫?もっと深刻なケガの可能性も
椎間板ヘルニアや腰椎すべり症、腰回りの骨の骨折など、腰椎捻挫以外のケガが原因で腰痛の症状が出ることもあります。
腰痛の原因が異なれば治療方法が変わり、認定される後遺障害等級や慰謝料の金額が異なる可能性もあります。
ケガの治療、慰謝料請求、どちらでみても、腰の痛みを感じたら整形外科で診察や検査をしっかりと受けて医師の指示に従うことが大事。
「大したことはない」、「すぐに治る」と自分で決めつけないようにしましょう。
腰椎捻挫に関する悩みは弁護士に相談
腰に痛みは、歩く、物を持つなどといった生活のあらゆる動作に影響し、後遺症が残ることによる負担は大きいです。
交通事故にあったら、まずはケガの治療に励み、もし後遺症が残ってしまった時は後遺障害の等級認定や慰謝料請求をきちんと行っていきましょう。
弁護士などに相談して手続きや示談交渉を進めるとスムーズに運び、慰謝料の増額も期待できますよ。