むちうちが「嘘」と言われたら。保険会社に首の痛みを証明する方法とNG行動

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むち打ちになった時のNG行動

「本当に首痛いの?」、「もう治っていませんか?」。むちうちになった交通事故被害者を悩ませるのが、保険会社から言われるこのような言葉。本当に痛みがあるのに、むちうちだと嘘をついていると疑われることがあります。
保険会社がむちうちを嘘という理由や、仮病扱いされた時にむちうちを証明する方法、事故被害者がしてはいけないNG行動をご紹介します。

保険会社がむちうちを嘘と疑ってくる6つの理由

むちうちを治療中の方を悩ませるのが「本当に痛いんですか?嘘をついていませんか?」といった保険会社の発言。

加害者の保険会社が被害者のむちうちを疑うことは珍しいことではありません

ではなぜ、保険会社はむちうちを疑ってくるのでしょうか?

保険会社がむちうちを嘘と疑う6つの理由をご説明します。

1.むちうちは自覚症状だけ。医学的な証拠を示せない

「本当はもう治っているんじゃないですか?」

むちうちの症状を医学的に証明できない場合、このように言われることがあります。

むちうちにおける医学的証拠とは他覚症状(画像検査でむちうちを確認できる)のことですが、他覚症状を確認できるケースはごくわずか。

大半のケースでは自覚症状しかありません。

そのため、保険会社はむちうちを医学的に証明できていないことを理由に、「事故被害者が嘘をついてまだ痛いと言っているんじゃないか」と疑うようになるわけです。

数ヶ月通院してもなかなか治らないという場合は、特に疑われる可能性があります。

2.事故から時間が経ってから痛みが出ているから

交通事故直後にはむちうちの症状が出ず、時間が経ってから首の痛みなどが出てくることがあります。

後から痛みが出るケースは珍しくありませんが、それを保険会社に伝えると「事故当時は平気そうだったのにおかしい」、「痛みが出たふりをしているんじゃないの?」と嘘を疑われることがあります。

保険会社にしてみれば「後からむちうちを主張されると慰謝料の支払いが増えて困る」という考えがあるのかもしれません。

3.軽い追突事故でむちうちを発症している

むちうちは、衝撃の程度に関わらず発症する可能性があり、ちょっとした追突事故でも痛みが出て、数ヶ月の通院が必要になることもあります。

事故の程度と症状が釣り合わないことはあり得ることですが、保険会社は「この程度の事故でむちうちになるのは(こんなに治療に時間がかかるのは)おかしい」と主張してくることがあります。

4.早く治療費を打ち切りたい

事故被害者の治療期間が長いほど、保険会社が支払う治療費や慰謝料の金額は増えていきます。

保険会社としては、早く治療が終了すればその分支出が減ります。

「もう治っているんじゃないの?」などと言ってくるのは、治療費の支払いを終了させて支出を減らしたいと思っているからです。

保険会社が治療の打ち切りを言う時期の目安として、「DMK136」(打撲1ヶ月、むちうち3ヶ月、骨折6ヶ月)という言葉があり、むちうちは交通事故から3ヶ月が過ぎると治療の打ち切りを言われる可能性があります

5.通院が少ない(していない)

むちうちの症状があるのに、仕事や生活を優先させて病院に通院していない、たまにしか病院に行かない場合、慰謝料目的の仮病と疑われることがあります。

また、最初のうちはきちんと通院していたけど途中で通院をやめてしまうと、保険会社に「治ったから通院をやめた」と判断されてしまいます。

「まだ痛みがある」と主張しても、通院していなければ信用されない可能性がありますのでお気をつけください。

6.本当に嘘をつく人も中にはいるから

ごく一部、本当に嘘をついている被害者がいることも影響していると考えられます。

すでに治っているのに「まだ首が痛い」と通院を続け、少しでも多く慰謝料をもらおうとしている人もいるかもしれません。

嘘をつかせないために保険会社は「もう痛くないでしょ」と追及しているのかもしれません。

保険会社にむちうちが本当だと証明する方法

保険会社へのむち打ちの証明

では、嘘と疑ってくる保険会社にわかってもらうにはどうしたらいいでしょうか?

むちうちが嘘だと疑われないためには、本当にむちうちで首が痛いことを証明するのが一番です

他覚症状がなくてもむちうちを証明する方法はあります。

むちうちを証明する3つの方法をご説明します。

1.整形外科に通院し、診断書を作ってもらう

まだ病院に行っておらず、むちうちになったこと自体を疑われている場合は、医師の診察を受け、症状を正確に伝えて診断書を作成してもらってください。

後から痛みが出た場合は、様子を見ないで早く病院に行きましょう。

整骨院は診断書を作成することができませんので、整骨院にのみ通っている人は整形外科に行くようにしてください。

2.病院で画像検査、神経学検査を受ける

検査結果でむちうちだと証明しましょう。

MRIやCTなどの画像検査で他覚症状があることを証明できれば一番です。

ただし、他覚症状を証明できるケースは限られますので、ジャクソンテストやスパーリングテストなどの自覚症状を確認する神経学検査を受けるようにしましょう。

3.通院と医師への報告を続ける

整形外科や整骨院で言われた通院頻度を守らず、首の痛みが強くなった時にだけ通院することを繰り返すと、保険会社にもう治っていると思われかねません。

また、自覚症状の伝え方がころころ変わることでも「嘘をついている」と怪しまれます。

大切なのは、定期的な通院を続け、医師に自分が感じている症状を正確に伝え続けることです。

むちうちを証明しなかったらどうなる?

保険会社にむちうちの症状を理解してもらわないと、事故被害者にどのようなリスクがあるのでしょうか?

むちうちが嘘と疑われていると、慰謝料請求で次の2つのトラブルが起こるおそれがあります。

慰謝料請求に応じてもらえない

保険会社にむちうちを嘘だと思われ、他にケガをしていない場合、慰謝料請求に応じてもらえない可能性があります。

入通院慰謝料は交通事故でケガをしたことに対して支払われるので、「むちうちになっていない」と保険会社が思っていたら支払いを拒否してくるでしょう。

受け取る慰謝料が少なくなる

治療を続けている中で保険会社が「もう治っているんじゃないの?」と疑ってくる場合、慰謝料の金額が少なくなるかもしれません。

保険会社が治療費の打ち切りをし、本来よりも早く治療が終了する可能性があるからです。

入通院慰謝料の金額は治療期間で変わりますので、早く治療が終了したら、金額はその分低くなります。

また、むちうちの場合、後遺障害等級の認定には6ヶ月以上通院していることが望ましいとされています。

早期に治療が終了することで後遺障害等級が認定されず、後遺障害慰謝料を受け取れない可能性も出てしまいます。

むちうちの治療中にやってはいけない4つのこと

むち打ち治療中にやってはいけないこと

むちうちの治療中や、保険会社に嘘を疑われた時にやっていけない4つのことをご案内します。

1.必要以上に通院(過剰診察)をしない

過剰診察とは、ケガの程度で必要と考えられる以上に病院へ通院することです。

本当にむちうちで首が痛くても、「病院で言われた以上の頻度で通院をしている」、「治療の効果がなくなったことを認めず通院を続けている」などの行為が見られると、保険会社から過剰診察だとみなされ、過剰診察分の治療費は自己負担となる可能性があります。

2.本当は痛くないのに通院をする

当然ですが、本当は痛みがない、もしくはケガが治ったのに通院を続けてはいけません。

治療期間が長いほど慰謝料が高額になるため、1日でも長く治療しようとする人も事故被害者の中にはいます。

しかし、保険会社は何名ものむちうち被害者を見てきていますので、ちょっとした矛盾に気がつき、嘘がバレる可能性があります。

嘘がわかると、その後の慰謝料請求で増額交渉に応じてもらえないなどの不利が生じることがあります。

悪質なケースは保険金詐欺になってしまうおそれもあります。

絶対に嘘をつかないようにしましょう

3.症状の説明に一貫性がない

「はじめは首の痛みだけだったけど、最近は吐き気などの体調不良もある」。

むちうちでは、後から異なる症状が出ることもあります。

この時に、首の痛みは説明済みだから「最近は吐き気があります」とだけ保険会社に伝えてしまうと、「首の痛みと言っていたはずなのに症状が変わっている」と怪しまれます。

一貫性のない説明は、嘘をついていると疑われる原因になります

「首の痛みは相変わらずあります。最近は吐き気も感じます」といったように自覚症状を説明しましょう。

4.安易に相手保険会社に従ってしまう

むちうちの症状があるなら「嘘をついている」、「もう症状固定だ」と言われても、その言葉を受け入れてはいけません。

先ほどお伝えした「慰謝料が少なくなる」、「後遺障害等級が認定されない」などのリスクが起こり得ます。

被害者の体調を考えて治療の継続を判断しない保険会社も多いので、「保険会社が言うならそうなのかな」と従わないようにしてください。

保険会社のやり取りに困ったら弁護士に相談しよう

むちうちの辛い痛みやしびれ。保険会社に理解してもらえず、「嘘をついている」と言われるのは本当に心外なことです。

しっかりと通院し、自覚症状を医師に正確に伝えたり検査を受けたりして、むちうちが嘘ではないと証明していきましょう

保険会社とのやりとりが嫌だったり、どう返答すれば良いかわからなかったりしたときは、弁護士に相談することをおすすめします。