交通事故に遭った直後は、身体に衝撃を受けたにもかかわらず、「痛くない、なんともないかも」と感じるケースも少なくありません。そのため、今は痛くないから通院しなくてよいと判断してしまう方もいらっしゃるでしょう。しかし、後から痛みが出てくるケガだったということも十分ありえます。そして、後から通院をするのでは十分な治療を受けられなかったり、治療の対応が遅いと捉えられてしまい不利になったりすることがあります。
交通事故後は必ず通院をするべき理由や、いつまで通院をすべきかなどを解説していきます。
事故後、痛みがなくても病院に行ったほうがいい理由
交通事故に遭った際に、実際にはケガをしていても、その場で痛みやしびれなどの症状を感じ取れない方が多くいらっしゃいます。
理由は、事故直後よりも後から痛みの出るケガもありますし、事故直後は興奮状態になっていて痛みを感じにくくなっている場合もあります。
「外傷がない=ケガはない」ではない
交通事故に遭い、見た目上はケガがないように思えても、外傷がないからケガをしていないというわけではありません。
骨折や皮膚の損傷など、目に見えるケガや直後から激しい痛みを感じるケガばかりではないからです。
表面上はケガがないように見えても、むちうちになっている可能性や、脳出血、神経損傷などが起きていることも考えられます。
目に見えるケガだけで判断をしないように注意をしましょう。
検査を受けて体に異常がないか確認したほうがいい
交通事故に遭った場合には、目に見えない箇所でケガが起きている可能性もあります。
たとえば、脳内でのケガだと目に見える骨折などと異なり、病院で医師の診察や検査を受けないと判断できないケースもあるでしょう。
また、むちうちなどですぐには痛みが発生しないケガを負っている可能性もあります。
そのため交通事故に遭ったら、目に見えるケガや今感じられる症状だけで判断せず、病院に行って診察・検査を受け医師の判断を受けましょう。
時間が経ってから痛みを感じることもある
交通事故のケガで厄介なのは、後で痛みが出る症状のケガを負ってしまう可能性があるということです。
たとえば、むちうちは事故直後は痛みやしびれは出ず、翌日や数日経過した後に痛みを感じケガに気づくというケースが多くあります。
また、脳内出血などの重大なケガを負っていても自覚症状がないケースも少なくありません。
事故の後に病院を受診をせず帰宅をしてしまったら、自宅で症状が悪化して取り返しのつかない事態を招いてしまう可能性もあるでしょう。
事故直後では大きな痛みを感じるケガがないように思えても、重傷を負っている可能性も十分に考えられるため、必ずできるだけ早く医療機関にて診察や検査を受けましょう。
事故直後は興奮状態で痛みを感じにくいことも
交通事故直後は、思いもよらぬ事態を受けて興奮状態に陥ってしまい、ケガを正しく判断できなくなる人が多いと言われています。
興奮状態に陥ると人間の体内ではアドレナリンなどが分泌されて痛みなどの刺激を感じにくくなるからです。
このアドレナリンが大量に体内に分泌されると、痛みを感じる感覚器(痛覚)も麻痺すると考えられていて、ケガの痛みに気づけない状態を招きます。
そのため、交通事故直後は何も症状もないように思えても、時間の経過とともに興奮状態がおさまり、痛みやケガの症状を感じるようになることがあります。
自己判断でケガの見逃しが起きてはいけないので、病院で正確に検査をしてもらい、ケガの有無や症状の程度を診断してもらいましょう。
むちうちは数日経ってから痛みが出ることもある
交通事故によるむちうちは、自覚症状がすぐに出るとは限らないため、見逃しが起きてしまうことがあります。
むちうちは交通事故による強い衝撃で頭部と胴体が異なる方向への動きを強いられることで首の痛みなどを発症するのですが、すぐに痛みやしびれなどの症状が出ないケースが多々あり、翌日~数日経過してからケガに気づくことも多いため、注意が必要です。
事故から時間が経つと因果関係を疑われる
なぜ、交通事故にあったあとにすぐに病院で診察や検査をしてもらう必要があるかというと、下記2点のリスクがあるからです。
- 重大なケガの見逃しをしてはいけないから
- 時間が経過してから病院に行っても交通事故との因果関係を疑われる可能性があるから
特に後から出てきた症状に対して、交通事故ではなく別の要因でケガをしたのではないかと判断されてしまうケースもあるため、事故後はなるべく早く病院に行く必要があります。
交通事故でのケガではないと判断されてしまうと、治療費や慰謝料が支払われない可能性が出てきます。
痛くないのに通院する際に気をつけること
交通事故に遭い、外傷や痛みがない状況で病院に行く際は、次のことに気をつけましょう。
- 保険会社には病院へ行くことを伝えること
- 痛みがないのに何度も通院をして不正請求を疑われる行動をとること
- むち打ちの場合には整形外科に通院すること
保険会社に病院へ行くことは伝えておく
交通事故に遭い、通院をする際は保険会社に病院に行くことを伝えましょう(連絡できる状況の場合)。
検査をしてケガの状態を明らかにするための通院をするケースであれば、保険会社に連絡を入れて状況理解をしてもらっておいたほうが良いからです。
保険会社に伝えておけば、治療費を支払ってもらう際、トラブルになりづらくなります。
何度も通院すると慰謝料目的の過剰診療が疑われることも
症状がないのに通院だけ重ねると、慰謝料目的の過剰診療だと疑われることがあります。
交通事故によるケガでの慰謝料は、通院した回数などで金額が決まります。
そのため、痛くないのに痛いなどと嘘をついて診察や検査を受け続け、必要以上の慰謝料を受け取ろうとする事故被害者が稀にいるため、事故被害が軽傷の場合は保険会社側も慎重に対応する傾向があります。
保険会社は、本来不要な治療や施術代金を請求されないよう慎重に対応するため、事故被害に遭って通院をする際には、慰謝料目的の過剰な通院と疑われないように適切な範囲で治療を受けましょう。
整骨院ではなく整形外科に通院すること
交通事故の治療で、整骨院に通うか整形外科に通うか悩む方もいらっしゃるでしょう。
しかし、外傷や痛みがない状況で通院するなら、整形外科へ行くべきです。
なぜなら、レントゲンやMRIなどの検査、医師による診察は、整骨院では受けられないからです。
整骨院に行ってもケガを詳細に診察してもらうことができませんので、症状の見落としなどが起きてしまう可能性があります。
また、その後に整骨院へ通院する際も、医師に許可をもらってからするようにしましょう。
治療を続け、痛みがなくなったら通院をやめても良い?

交通事故後に通院を続けていると、痛みが緩和し、気にならなくなることもあります。
そのような状況で「痛みがなくなったらもう通院しなくてよい?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、事故後の治療においては、通院期間や頻度を自己判断せず、医者の指示のもと、最後まで適切な治療を受けるようにしましょう。
なぜ、医師の判断が必要になるのか、下記で説明をしていきます。
医師の指示に従い、最後まで通院を続けたほうがいい
交通事故によるケガをきちんと治していくためには、医師の判断・指示のもと診療機関や診療頻度を重ねるようにしましょう。
「痛みがおさまってきたから、もうそろそろ通院はやめよう」、「もう少ししたら痛くなくなりそうだから、通院回数を減らそう」、「忙しいから痛くなったときだけ通院しよう」などと、自己判断で通院回数・頻度・間隔を決めてしまうことで、ケガの治りを遅くしてしまう可能性が上がったり、完治できなくなったりする可能性もあるでしょう。
また、慰謝料請求や後遺障害申請をする際にも通院期間や通院回数が影響を及ぼします。
必ず、医師の指示のもと最後まで通院をしていきましょう。
一時的に痛みが和らいでいるだけの可能性もある
「痛みがおさまってきたから通院回数を減らそう」、「通院はもうやめよう」と自ら判断する交通事故被害者の方もいらっしゃいますが、ケガの経過や治りは人ぞれぞれで、治療の経過を適正に判断できるのは医者だけです。
痛みが和らいできた気がしても、一時的に痛みが弱まっているだけという可能性もありますので、自分で判断しないようにしましょう。
後遺症が残った時の等級認定に影響することも
一定の頻度で通院を継続しないと、万が一後遺症が残ってしまった場合の後遺障害等級認定に影響を及ぼしてしまう可能性があります。
後遺障害の等級認定には、実際に残ってしまった症状とプラスして、後遺障害が残ってしまったと判断されるまでの通院期間や通院頻度・回数も影響をします。
途中で通院をしなくなると、後遺障害の等級が軽く判定されてしまう、もしくは後遺障害と判定されなくなり、慰謝料を請求できなくなるといった事態を招きかねません。
交通事故の保障をきちんと受け取るためにも、最後まで通院をしっかりと行ったほうが良いです。
勝手に通院をやめると、早期に治療費が打ち切られることも
通院を自己判断で勝手にやめてしまうと、早期に治療費が打ち切られてしまい、その後、再度痛みがあって通院をしたくても実費で通院する事態になりかねません。
保険会社側は、事故被害者が通院をやめると治療が終わったと判断し、再度の痛みが発生した場合でも事故との因果関係を疑って治療費を出さないことがあるからです。
自己判断で勝手に通院頻度や回数、通院期間を決めず、医者の指示のもと治療経過をよく確認しながら通院をするようにしましょう。
交通事故後の通院や治療費の打ち切りについて詳しくは、下記をご覧ください。
通院や慰謝料の悩みは弁護士に相談
- 痛みがなくても病院に行ったほうが良いか
- いつまで通院するべきなのか
- 後遺障害が残ってしまいそうだが今後はどうしたらよいのか
- 適正な慰謝料を支払ってもらいたい
などと、今後の通院や慰謝料請求で悩みや疑問がある場合には、交通事故被害解決の専門家である弁護士にご相談ください。
弁護士に相談をすれば、交通事故被害者の救済のために弁護士が持っているノウハウの提供やケガの治療に専念するためのサポートなども受けることができます。
交通事故のケガによる悩みがある方は、弁護士へのご相談をおすすめします。