【交通事故】手足を骨折した際の慰謝料相場と後遺障害認定

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骨折の後遺症と慰謝料

交通事故で骨折をすると、何ヶ月間もの治療を余儀なくされ、仕事や生活に大きな支障をきたします。さらに後遺症が残ると、これからの生活にも影響が出てしまいます。骨が元どおりにつかないことや、骨折が原因で痛みが残ったり、関節の動きが制限されたりするなどの後遺症が残るケースは少なくありません。
交通事故で骨折をしたら、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料の請求を行いましょう。骨折での入通院慰謝料の相場や、手や腕、足の骨折で認定される後遺障害等級、後遺障害慰謝料の金額をご説明します。

骨折の治療期間の目安と入通院慰謝料の相場

交通事故で骨折をした場合、骨折をした箇所や程度などによって治療期間はバラバラです。

短い場合は1ヶ月程度で治療が終了するいっぽう、長い場合は治療を終えるまで1年近くかかることもあります。

この治療期間の違いによって変わってくるのが入通院慰謝料の金額です。

入通院慰謝料の金額は、入院期間と通院期間で金額を計算します。

骨折の入通院慰謝料の金額

入院
1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月
通院 53万円 101万円 145万円 184万円
1ヶ月 28万円 77万円 122万円 162万円 199万円
2ヶ月 52万円 98万円 139万円 177万円 210万円
3ヶ月 73万円 115万円 154万円 188万円 218万円
4ヶ月 90万円 130万円 165万円 196万円 226万円
  • 「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」を参照。

骨折をした場合の入通院慰謝料は、上の表をもとに金額の計算を行います(裁判基準の場合)。

たとえば、3ヶ月間治療したのは同じでも、3ヶ月間通院した場合は通院3ヶ月の欄(73万円)、1ヶ月入院した後、2ヶ月通院した場合は入院1ヶ月、通院2ヶ月の欄(98万円)となるように、入院した場合のほうが慰謝料は高額になります。

入院日数、通院日数に端数がある時は日割りで計算を行います。

なお、弁護士が保険会社と示談交渉をした場合は、この裁判基準の8割〜9割程度の金額で示談をするケースが多いです

入通院慰謝料の示談交渉や相場については、下記のページで詳しくご説明しています。

手や腕の骨折での後遺障害認定と後遺障害慰謝料

ここからは、手や足の詳細と認定される後遺障害等級、支払われる後遺障害慰謝料についてご説明します。

手や腕は、交通事故で転倒した際に地面に強く打ちつけるなどして骨折するケースが多いです。

また、体を強打することを防ごうとして手をつき、その衝撃で手首などを骨折してしまうケースもあります。

その中でも、橈骨(とうこつ)や舟状骨(しゅうじょうこつ)、上腕骨(じょうわんこつ)を骨折することが多いです。

これらの骨について、骨折による症状や残り得る後遺症についてご説明します。

交通事故で多い手・腕の骨折

橈骨骨折の後遺症

手首と肘の間にある2本の骨のうち、手のひらを上にした際に外側(親指側)にある骨が橈骨で、交通事故で手をついた際に、橈骨の手首に近い部分を骨折(橈骨遠位端骨折)することがあります。

そして、手首の腫れや変形が起こり、治療をしても骨が元どおりにつかない(医学の言葉で「癒合不全」と言います)などの後遺症が残る場合があります。

舟状骨骨折の後遺症

手首の関節内にある骨のひとつで、橈骨と同じように手をついた際の衝撃で骨折をしてしまう恐れがあり、親指の付け根に痛みを感じる、手首が思うように動かせないなどの後遺症が残ることがあります。

舟状骨は小さい骨でレントゲン検査ではすぐに判明しないこともあるため、CT検査なども受けるようにしましょう。

上腕骨骨折の後遺症

肘から肩の間の骨のことです。

肩を強く打ち付けてしまった場合に、上腕骨のうち肩に近い部分を骨折(上腕骨近位端骨折)してしまうことがあります。

上腕骨近位端骨折をすると、「肩を思うように動かせない」、「肩に人工関節や人工骨頭を入れた」などの後遺症が残る場合があります。

認定される後遺障害等級と支払われる慰謝料

後遺障害等級 症状 後遺障害慰謝料
(裁判基準)
7級9号 橈骨や上腕骨の骨折などで癒合不全が残り、常に硬性補装具を必要とする場合 1000万円
8級6号 手首、肘、肩関節の可動域が骨折していない腕と比べて10%以下の場合 830万円
8級8号 橈骨や上腕骨の骨折などで癒合不全が残る場合 830万円
10級10号 手首、肘、肩関節の可動域が骨折していない腕と比べて1/2以下の場合 550万円
12級6号 手首、肘、肩関節の可動域が骨折していない腕と比べて1/4以下の場合 290万円
12級8号 橈骨や上腕骨などに変形を残す場合 290万円
12級13号 手首などに痛みやしびれが残り、神経症状の後遺障害として検査結果などで証明できる場合 290万円
14級9号 手首などに痛みやしびれが残るものの、神経症状の後遺障害として検査結果では証明できない場合 110万円
  • 「後遺障害等級表」および「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」を参照。

手や腕の骨折では、痛みやしびれが残る、事故以前のように動かせない(可動域制限)などの後遺症が残る可能性があります。

また、骨がきちんとつかなくて、浮き出たようになってしまうこともあります。

これらの後遺症で後遺障害等級が認定される可能性があり、後遺障害等級は症状の程度によって異なり、等級によって後遺障害慰謝料の金額が大きく変わります

足の骨折での後遺障害認定と後遺障害慰謝料

自転車やバイクで走行中の交通事故はで、大腿骨(だいたいこつ)という太ももの骨を骨折してしまうケースが多くあります。

自動車を運転中の場合だと、膝をダッシュボードに強く打ち付けて骨折をしてしまうケースあります(これをダッシュボード損傷と言います)。

ダッシュボードに膝を打ち付けたことで膝蓋骨(しつがいこつ)や脛骨(けいこつ)という骨を骨折することがあります。

大腿骨、膝蓋骨、脛骨の骨折について、まずは症状や後遺症をご説明します。

交通事故で多い足の骨折

大腿骨骨折の後遺症

足の付け根から膝を繋ぐ大きな骨のことです。

骨折した箇所によって大腿骨骨頸部骨折、大腿骨転子部骨折、大腿骨骨幹部骨折などと診断されます。

大腿骨骨頸部骨折では股関節を思うように動かせない、大腿骨転子部骨折では足を自由に動かせないなどの後遺症が残ることがあります。

膝蓋骨骨折の後遺症

いわゆる「膝のお皿」のことで、ダッシュボードに膝を強く打ち付けることで骨折をしてしまう場合があります。

膝蓋骨骨折では、膝に痛みが残る、膝を思うように動かせないなどの後遺症が残ってしまうことがあります。

脛骨骨折の後遺症

脛骨は足のすね部分にある骨のことです。

骨折した箇所によって脛骨近位端骨折、脛骨顆部骨折などと診断名が変わります。

脛骨のうち、膝に近い箇所を骨折した場合は膝の痛みや「思うように動かせない」、骨の中心に近い部分を骨折した場合は骨の変形などの後遺症が残ってしまうことがあります。

認定される後遺障害等級と支払われる慰謝料

後遺障害等級 症状 後遺障害慰謝料
(裁判基準)
7級10号 大腿骨や脛骨の骨折などで癒合不全が残り、常に硬性補装具を必要とする場合 1000万円
8級7号 足首、膝、股関節の可動域が骨折していない腕と比べて10%以下の場合 830万円
8級9号 大腿骨や脛骨の骨折などで癒合不全が残る場合 830万円
10級11号 足首、膝、股関節の可動域が骨折していない腕と比べて1/2以下の場合 550万円
12級7号 足首、膝、股関節の可動域が骨折していない腕と比べて1/4以下の場合 290万円
12級8号 大腿骨や脛骨などに変形を残す場合 290万円
  • 「後遺障害等級表」および「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」を参照。

足の骨折では、痛みやしびれ、可動域制限などの後遺症が残る可能性があり、症状によって後遺障害等級が異なります。

重度の後遺障害は立つことや歩くことに影響する場合もあり、足の後遺障害は、仕事や日常生活への影響も大きいです

適切な後遺障害認定を受け、慰謝料をきちんと受け取るようにしてください。

骨折で適切な慰謝料を受け取る方法

ご説明したのは、交通事故被害で起こりうる骨折の一部です。

より重度の後遺症が残る場合、複数の箇所を骨折してしまう場合、手指や足指、体や顔の骨などを骨折する場合もあります。

どの場合であっても、後遺症が残ると、日常生活や仕事に影響することもありますので、後遺障害等級の申請を行い、相場の慰謝料を勝ち取ることを目指しましょう。

保険会社に相場の慰謝料を支払ってもらうためには、交通事故の知識や示談交渉の経験が重要となります。

後遺障害認定や示談交渉は弁護士に相談して進めることをおすすめいたします