スパーリングテストとジャクソンテストでわかること。むちうちの検査で重要な理由

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スパーリングテストとジャクソンテスト

交通事故でケガを負うと、ケガの症状等を確認するために病院でさまざまな検査を受けます。スパーリングテストとジャクソンテストは、むちうちの場合に行うことが多く、後遺障害の等級認定にも影響すると言われています。
この2つの検査を受ける目的や、検査の方法や費用、ほかの検査との違いをご説明します。

スパーリングテストとジャクソンテストはなぜ重要?

交通事故で後遺症が残った場合、後遺障害等級の申請を行います。
認定される後遺障害等級によって後遺障害慰謝料や逸失利益の金額が変わるため、後遺症が残ってしまった方にとって、とても大事な手続きです。
しかし、症状が残っているからといって必ず後遺障害等級が認定されるわけではないため、きちんと検査を受け、資料をしっかり精査して手続きを行う必要があります。
特にむちうちは、後遺障害等級の認定が特に難しいケガと言われています
希望する結果を得るためには、治療中からさまざまな検査を受けて、症状の改善状況などを記録に残しておくことが大切です。
そして、スパーリングテストジャクソンテストは多くのむちうち被害者の方が2つ1セットで検査を受けていますが、なぜスパーリングテストとジャクソンテストを受けておく必要があるのでしょうか?
その理由を2つご説明します。

1.自覚症状を確認することができる

むちうちで後遺障害等級の認定を受けるためには、どのような自覚症状があるかを細かく伝えることが大切です。

自覚症状の伝え方には、日常生活での影響を伝える方法もありますが、テストを受けて確認する方法もあり、このテストがスパーリングテストとジャクソンテストです。

スパーリングテストとジャクソンテストを受けることで、痛みやしびれなどの自覚症状(神経根の障害)があるか確認することができます。

2.後遺障害診断書に記入する

スパーリングテストとジャクソンテストの結果は後遺障害診断書に記載をします。

後遺障害の等級認定を判断する自賠責損害調査事務所は、後遺障害診断書の内容を重要視し、スパーリングテストとジャクソンテストの結果がどのように記載されているかも影響すると言われています。

レントゲンやMRI検査との違いは?

ケガをした際に受ける検査として有名なものにレントゲンMRICTなどがあります。
これらの検査はむちうちで行われることも多く、後遺障害等級の認定結果にも影響します。
スパーリングテストやジャクソンテストと同様に重要な検査です。
ただし、検査を受ける目的に明確な違いがあります。
お伝えしたように、スパーリングテストやジャクソンテストは基本的に自覚症状を確認するためのテストで、他覚症状(骨が折れている、神経が圧迫されているなど)を確認することはできません。
いっぽうでレントゲンやMRIは他覚症状の有無を確認する画像検査です
この検査では自覚症状は確認できません。

レントゲンやMRI検査金

むちうちでは、他覚症状がある場合は後遺障害12級、自覚症状のみの場合は後遺障害14級が認定される可能性があります。
高い等級の認定を受けるためには、他覚所見と自覚症状が整合している必要があり、MRIなどをもとに他覚所見を明らかにするとともに、ジャクソンテストなどで自覚症状を明らかにすることが大切です。

スパーリングテストとジャクソンテストの検査方法

次に、スパーリングテストとジャクソンテストの検査方法をご説明していきます。
どちらの検査も神経学的検査というものに分類され、神経根の異常を確認していきます。
検査の際に特別な医療機器は必要としません。
患者と医師がいれば、簡単に行うことができるテストです
テストを行い、患者が自覚症状(首や腕の痛みやしびれ)を自己申告で伝えていきます。
痛みやしびれがあれば検査結果は陽性、なければ陰性となり、診断書に記載されます。

スパーリングテストのやり方

スパーリングテストのイメージイラスト

患者は椅子などに座ります。
医者は患者の後方に立ち、両手を組むようにして患者の頭の上に置きます。
医師が、痛みやしびれが出る側に頸部を傾け、圧迫していきます。はじめは軽く、2回目は強めに圧迫し、症状が出れば陽性、出なければ陰性となります。

ジャクソンテストのやり方

ジャクソンテストのイメージイラスト

患者は椅子などに座り、頭部を後ろに倒します。
医者は患者の後方に立ち、両手を患者の頭部に置きます。
そのまま患者の頭を下に押さえつけるようにして負荷をかけます。症状が出れば陽性、出なければ陰性となります。

テストはどの病院で受けられる?検査費用はいくら?

スパーリングテスト、ジャクソンテストともに特別な医療機器を必要としませんので、通院している整形外科で受けられることが多いです。
ただし、整骨院に通院している場合、整骨院では医療行為を受けることはできないため、スパーリングテスト、ジャクソンテストを整骨院で受けることはできません。
検査結果を後遺障害診断書に記載するのは医師ですので、整形外科へ行って検査を受けましょう。

スパーリングテスト、ジャクソンテストの検査費用は、治療費として保険会社に請求することができます
基本的には事故被害者が料金を負担することはありません。

参考までに健康保険を利用して検査を受けた場合の金額をお伝えします。
「令和2年度診療報酬点数表」では、神経学的検査は500点となっており、診療報酬点数は1点10円です。
そのため、健康保険の自己負担が3割の場合は、「500点×10円×0.3=1,500円」がスパーリングテスト、ジャクソンテストの検査費用となります。

後遺障害申請のために必要な検査を弁護士に相談

スパーリングテスト、ジャクソンテストで陽性になったからといって必ず後遺障害14級が認定されるわけではありませんが、等級認定を受けるなら受けておくべき検査です
交通事故被害に詳しい弁護士には、必要な検査や後遺障害診断書の内容の相談をすることもできます。