交通事故被害者が加害者の保険会社に賠償金を請求する際に必要な事故発生状況報告書。事故当時の状況を詳しく説明する大切な書類で、過失割合の決定にも重要な役割を果たします。
ここでは、巻き込み事故と交差点での事故をテーマに、バイク事故における事故発生状況報告書の書き方を図解と事例でわかりやすくご説明いたします。
バイク事故で「事故発生状況報告書」が大切な理由
事故発生状況報告書は、交通事故が発生した時の被害者と加害者の位置関係や道路状況を詳細に説明するための書類です。
交通事故の事実は、警察が作成する交通事故証明書で証明することができますが、交通事故証明書には、交通事故の状況は詳しく記載されていないため、それを事故発生状況報告書で補足する必要があります。
バイクと自動車の事故は、お互いが走行中に発生し、両者に過失が付くことが多く、交差点での巻き込み事故やバイクのすり抜けでの事故は、道路や交通状況のちょっとした違いで過失が変わってきます。
そのため、過失割合が争点になることが多く、過失割合の決定に大きく影響する事故発生状況報告書の内容がとても重要となります。
事故発生状況報告書をできるだけ詳細に記載することが、妥当な賠償金を受け取ることにつながります。
事故発生状況報告書を書く際の基本的なポイントは、下記でご説明していますので、合わせてご覧ください。
事例1:巻き込み事故の事故発生状況報告書
こちらの図解は、バイク事故の中で多い巻き込み事故における事故発生状況報告書の記入例です。
交差点でバイクが直進し、自動車が左折しようとした際に発生した交通事故の状況を記載しています。
作成のポイント
- どちらが先行して交差点に進入したかを明確に記載しましょう
この図解は自動車が先行して交差点に進入した巻き込み事故のため、事故発生状況報告書はバイクのほうが後ろに記載されています。
これがもし、バイクが先行していた、もしくは事故直前に自動車がバイクを追い越したような場合は、その状況がわかるように記載をしましょう。
巻き込み事故では、バイクと自動車のどちらが先行して交差点に進入したかによって、過失割合が下記のように変わります。
そのため、バイクと自動車の動きを詳細に記載することが大切です。
図だけでは説明が十分ではない場合は、図の下の記入欄に状況を文章で記載してください。
自動車がウインカーを出さなかった場合や突然左折した場合なども文章で補足を加えましょう。
「ウインカーを直前に出した」、「ウインカーを出さずに曲がった」、この説明の違いでも過失割合が変わるケースがあります。
自動車側にこのような過失があると、下記の過失割合から、バイク側の過失が減る可能性があります。
覚えていることを書き忘れないようにしましょう。
交差点での巻き込み事故の過失割合の一例
交差点進入時の状況 | バイク | 自動車 |
---|---|---|
自動車が先行して交差点に進入 | 20 | 80 |
バイクが先行して交差点に進入 | 10 | 90 |
直前に自動車がバイクを追い越した場合 | 10 | 90 |
事例2:対向車が右折し、正面衝突した場合の事故発生状況報告書
こちらの図解は、交差点で直進するバイクと右折をする対向車が正面衝突をしてしまった交通事故の事故発生状況報告書の記入例です。
作成のポイント
- 事故発生当時の信号の状況を詳細に記載しましょう
- 右折した対向車がどのように交差点に進入したか記載しましょう
- 前方に自動車が走行していた場合は前方車両も記載しましょう
交差点での右直事故では、信号の状況、右折した対向車の右折までの動き、見通しの良し悪しがポイントとなります。
信号の状況や、バイクがどの信号で交差点に進入したのかを記載しましょう。
対向車の信号は何色だったか、いつ変わったか、右折用の信号の有無などをわかる範囲で記載しましょう。
また、対向車が右折専用レーンで一時停止(安全確認)をしてから右折したか、見通しが良かったか(バイクの前方にトラックなどが走行していなかったか)も図と文章で記載するようにしましょう。
これらの状況によって被害者と加害者の過失割合が異なり、加害者の確認不足などがある場合、被害者の過失が少なくなる可能性があります。
このほか、バイクと自動車の速度や、どのように衝突してしまったか(左側に避けようとしたが、避けきれずに衝突)など、記入欄に事故発生時の状況をできるだけ詳細に書くようにしましょう。
事故後の書類作成は面倒でも丁寧に
バイク事故では、ちょっとした状況の違いで過失割合が異なってきます。
そのため、事故発生状況報告書で交通事故が発生した状況を詳細に伝えることが、正しい過失割合が認められるためにとても大切です。
不慣れな対応でどう記入すればいいかわからないこともあるかと思いますが、適切な慰謝料を受け取るためにも、事故発生状況報告書をきちんと作成するようにしましょう。