保険会社の示談提示に納得できない場合や、保険会社の態度そのものに不満で示談をしたくない場合、どうしたらよいのでしょうか?示談をしないでいるとどうなってしまうのでしょうか?
結論、示談をしないでいると、事故被害者にとって状況が不利になる可能性があります。
こちらの記事では、保険会社の提示してくる示談内容に納得ができない場合にどのように対処をすべきか解説していきます。
保険会社の提示に納得できない時は示談しなくて良い?
相手側保険会社から慰謝料の金額が提示された場合、即座に回答をしないといけないわけではありません。
ただし、いつまでも示談を拒否し放置しておくと損害賠償の請求権利を消失してしまいます。
そのため、提示された示談内容に納得がいかない場合には、以下のうちいずれかの対処をする必要があります。
- 自分で交渉する
- 交通事故紛争処理センターを利用して解決を目指す
- 裁判を起こし解決を目指す
- 示談交渉を弁護士に依頼し解決を目指す
示談をしない場合の被害者の選択肢
相手側保険会社から提示された示談内容に納得ができず、そのまま示談をしたくない場合には先ほど述べた4つの手段が考えられます。
しかし、自分で交渉する場合、保険会社は交通事故に精通し、交渉のプロでもあるため、自分の希望通りに進む可能性は低く、内容を大きく好転させることは難しいです。
そのため、残りの3つの方法で解決できないか考えたほうが、示談内容が変わる見込みは高いです。
交通事故紛争処理センター、裁判、弁護士による示談交渉の特徴を確認していきましょう。
交通事故紛争処理センター(ADR)を利用
交通事故紛争処理センター(ADR)とは、自動車事故に係る損害賠償問題の紛争解決を中立公正な立場から無料で支援・対応している公益財団法人です。
自動車事故に伴う損害賠償の紛争に関する法律相談や和解あっ旋、審査を無料で行っています。
この紛争処理センターは治療終了後の人身事故の被害者が利用できる機関です。
紛争処理センターを利用するメリットやデメリットをあげていきましょう。
無料で利用できる
交通事故紛争処理センターは無料で利用できます。
ただし、医療関係書類の取付け費用、センターまでの交通費(駐車場代含)、資料作成費(コピー代等)、通信費(電話代等)等の費用は利用する本人の負担となります。
裁判基準に近い損害賠償金を請求できる
交通事故紛争処理センターの利用をした場合、紛争処理センターの相談担当弁護士が中立公正な立場で対応をしてくれます。
弁護士の対応になるため、裁判基準に準じた賠償金額で和解ができるように進めてくれる可能性があります。
また、無料で利用できるため、裁判費用や弁護士費用などの費用もかかることなく利用ができることもメリットでしょう。
審査結果は一部の任意保険会社に対して強制力がある
交通事故紛争処理センターを利用して、センターの担当弁護士が和解あっ旋をしてくれたものの、合意できなかった際には審査をしていくことになります。
審査では、事故の被害者と加害者の意見を聞いたのちに、紛争処理センターから結論を示す裁定が行われます。
この裁定の結果に同意したら、相手保険会社は裁定の結果を尊重することになっているため、和解成立となります。
和解不成立になることもある
交通事故紛争処理センターを利用したからといって必ず解決できるわけではありません。
それは、弁護士が中立な立場のため、必ずしも申立人(事故被害者)が望む和解条件を提示してくれるとは限らないからです。
事故被害者が裁定結果に同意しなければ、和解不成立となりその後は裁判などで争うことになります。
民事裁判で争う
次に、示談をしないで民事裁判を起こして法的手段で解決を目指す場合について説明します。
示談ではお互いの主張が折り合わず、示談締結困難となった場合には、裁判で解決を目指す選択もあります。
- 示談では納得できず徹底的に争いたい
- 遅延損害金や弁護士費用の請求もしたい
- 自賠責認定の後遺障害等級にこだわらず損害額を算定したい
などのケースでは示談をしないで裁判で争う可能性もあるでしょう。
ただし、民事訴訟で賠償を求める場合、被害者と加害者の双方の主張と証拠が裁判官により客観的に判断されますので、裁判だからといって、被害者側の主張が全面的に採用されるわけではありません。
被害者側にとって有利ではない判断が下される可能性も十分にあり得るため注意が必要です。
また、裁判での決着には早くて半年程度、長いと数年ほどの期間を要することになります。
そのため、民事裁判で解決を目指すのであれば、長い時間がかかることを理解したうえで取り組んだほうがよいでしょう。
特に、重大な人身事故により後遺障害等級が認定されたケースや交渉内容が複雑なケースであれば裁判を起こすメリットが大きい場合もあります。
交通事故での民事裁判の流れについて、慰謝料請求で訴訟を起こすにはどのようにしたらよいか、さらに詳しく確認したい方はこちらをお読みください。
慰謝料や過失割合に納得できないなら弁護士に相談
示談をしたくない場合の対処法の4つ目に記載した「示談交渉を弁護士に依頼し解決を目指す」について説明をします。
交通事故後の示談交渉を弁護士に任せることで、慰謝料が増額されるなど条件が良くなり、事故被害者の手間も軽減されます。
裁判基準で交渉してもらえる
慰謝料の増額を目指したい場合は、交通事故被害に詳しい弁護士に示談のサポートを依頼すると良いでしょう。
弁護士が代理人として示談交渉を行う際には、保険会社の提示金額よりも高額の裁判基準で慰謝料を計算し、増額交渉してもらえることができます。
提示された慰謝料の金額に納得できず、「示談をしたくない」と思っている方は、弁護士に相談することで不満が解消される可能性が高いでしょう。
過失割合の修正が認められることも
弁護士に依頼をすると、相手保険会社が提示する過失割合に納得できない際にも適正な過失割合に修正できる可能性があります。
弁護士は相手保険会社から提示されている過失割合が妥当か否かを法的に判断し、過失割合が正しくないと判断した場合は、弁護士が目撃証言やドライブレコーダーなどの証拠に基づいて、適正な過失割合を算出し、交渉してもらうことも可能です。
過失割合に納得できず、「示談をしたくない」という方も慰謝料と同様、弁護士に相談することで不満が解消される可能性があります。
保険会社との示談交渉は弁護士に相談
相手の提示してきた示談内容に納得がいかず、そのまま示談をしたくない場合には「自分で再度交渉する」、「交通事故紛争処理センターを利用して解決を目指す」、「裁判を起こし解決を目指す」、「示談交渉を弁護士に依頼し解決を目指す」といった選択肢があります。
中でも、弁護士に示談交渉を依頼することで、「示談をしたくない」と感じた原因を解決できる可能性があります。