後遺障害等級の申請を行ったけれど非該当になってしまった方、まだ諦めないで大丈夫です。後遺障害等級の異議申立てという手続きをすることで、今からでも後遺障害等級の認定を受けられる可能性があります。
交通事故の後遺障害申請における異議申立ての方法や、申立てをする際のコツ、弁護士に相談するメリットについてお話しします。
後遺障害認定は一度限りじゃない!再チャレンジ可能
交通事故によるケガで後遺症が残って、後遺障害の等級認定を行ったものの、結果は非該当。
「後遺障害と認められなかったら、後遺症に対する補償はどうなるの?」と不安になることでしょう。
また、「認定されたけど、等級に納得がいかない」という方もいるかもしれません。
しかし、後遺障害等級が非該当だった方も、認定結果が不服な方も「まだ諦めなくて大丈夫!」です。
後遺障害の等級認定には、異議申立てという手続があります。
これは、簡単に言えば「結果に納得できないから、もう一度審査してほしい」と依頼する手続きです。
必ず成功するとは限りませんが、異議申立てを行うことで結果が覆り、適切な後遺障害等級が認定される可能性があります。
異議申立てを行うメリットは?
「認定されるかわからない手続に時間をかけるのは面倒。少しでも早くやりとりを終わらせたい」。
このように、異議申立てをやるほどではないと考えている人もいると思います。
しかし、「異議申立てを行えば後遺障害等級が認定される可能性がある」、「後遺症の症状に対して後遺障害等級が合っていない」と感じているのであれば、異議申立ての検討をおすすめします。
その理由は、後遺障害の等級認定の結果次第で、受け取る賠償金の金額が大きく変わる可能性があるためです。
後遺障害が非該当だった場合、想定よりも低い等級が認定された場合、それぞれのデメリットを整理していきましょう。
不服な認定結果をそのままにしておくデメリット
- 後遺障害等級が非該当だった
- 後遺障害慰謝料と逸失利益を請求することができません。
- 想定よりも低い後遺障害等級だった
- 後遺障害慰謝料と逸失利益を請求することはできますが、妥当な等級が認定された場合に比べ、受け取る額は低額となります。
示談交渉で自分のケガ、後遺症に見合った慰謝料を受け取るには、後遺障害認定の結果がとても重要です。
不服な認定結果のままで示談をしてしまうと、相場以下の慰謝料で示談をすることになる可能性が高くなってしまいます。
異議申立てを行う3つの方法。一番いい方法は?
では、異議申立てはどうすればできるのでしょうか?
まずは、異議申立ての期限や回数、方法を順番に見ていきましょう。
異議申立ての期限や回数
- 期限
- 時効になるまで
- 回数
- 何回でも可能
- 自賠責保険会社に異議申立てを行う場合
自賠責保険では、後遺障害による損害の手続きは症状固定の翌日から3年が時効と決まっていますので、それまでであれば異議申立ては何回でもできます。
異議申立てに時間をかけたことで慰謝料請求が時効になってしまわないように気をつけましょう。
時効前であれば、納得いくまで何回でもできますが、やみくもに異議申立てを行っても同じ結果になるだけで、ただ行えばいいと言うわけではありません(申立てのポイントやコツはまた後ほどご説明します)。
異議申立ての方法
異議申立てを行う方法は下記の3つがあります。
- 保険会社に対して異議申立てを行う
- 自賠責紛争処理機構に申請する
- 裁判を行う
実際に行うのは交通事故の加害者が加入する保険会社に異議申立てを行うケースがほとんどです。
保険会社への異議申立てには事前認定と被害者請求という2種類の方法があります。
事前認定は、加害者の任意保険を通じて申請する方法です。
いっぽうの被害者請求は、事故被害者や弁護士が加害者の自賠責保険に対して申請する方法です。
後遺障害の等級認定を行った際も、この2つの方法のいずれかで行っていたはずです。
どちらの場合も、保険会社から損害保険料率算出機構という機関に書類が送付され、判断を仰ぐことになります。
異議申立ての流れ
異議申立てのポイントとコツ
異議申立ては何回でもチャレンジ可能です。
しかし、異議申立てが認められる可能性は低く、結果が変わるのは、申立て全体のわずか5%前後だそうです。
そのため、一度目の後遺障害の等級認定と同じ資料を提出しても、結果は変わらないと言っていいでしょう。
この5%になるためには、結果を覆すための準備や的確な根拠が大切です。
そこで、異議申立てを行う際のポイント、コツを整理してみました。
異議申立てが成功する可能性があるか考えましょう
一度異議申立てを行うと最低でも数ヶ月はかかります。
異議申立てが認められる可能性は高くありませんので、やみくもに申立てを行っても結果は変わらず、時間や労力の負担が増えるだけです。
そのため、「納得できない」という個人的な感情だけで申立てを行うのではなく、後遺症の症状や検査の結果などから、結果が覆る可能性があるのか、しっかりと考えましょう。
弁護士のアドバイス・サポートを受けましょう
異議申立てをするべきか考えると言っても、自分自身で判断するのはとても難しいです。
かといって病院の先生も後遺障害の専門家ではありません。
弁護士の意見を聞き、判断したほうがいいでしょう。
交通事故被害に詳しい弁護士であれば、異議申立てが成功する可能性があるか判断できますし、望んだ後遺障害等級が認定されなかった理由も把握し、今後の最善の対応がみえてきます。
被害者請求で申立てを行いましょう
異議申立てを成功させるには、等級認定の結果を覆す資料(医学的な証明をできる検査結果など)が必要です。
新たに検査を受け、医学的な証明を得ることができれば、異議申立てが認められる可能性が出てきます。
また、異議申立ては、被害者請求で行うのがオススメです。
事前認定の場合、対応してくれるのは加害者の任意保険です。
異議申立てが成功することは、加害者の任意保険にとってメリットはありません(支払う慰謝料が増えてしまうので)。
そのため、加害者の任意保険には、等級認定の結果を覆す資料を準備するなど、きめ細やかな対応は期待できないでしょう。
いっぽうで交通事故被害の後遺障害申請や慰謝料請求で実績がある弁護士に相談して被害者請求で異議申立てを行えば、書類の内容を詳しく確認したり、より有利な情報はないか考えたりといった、きめ細やかな対応が期待できます。
異議申立てをするなら、その時点で弁護士に相談するのがおすすめです。
その後の慰謝料の支払いまで継続してサポートしてもらえ、異議申し立てや示談交渉で対応の負担が大きく軽減される点もメリットです。
後遺障害等級で逆転を狙うなら弁護士に相談
異議申立ての結果が出るまでに数ヶ月から半年程度の時間がかかります。
その分、慰謝料などを受け取るタイミングが遅くなりますので、まずは本当に異議申立てをするべきか、後遺症の症状や検査結果と認定結果を照らし合わせて判断することが大切です。
「いっぱい考えたけど、やっぱり非該当に納得できない」、「異議申立てが成功する可能性があるならチャレンジしたい」という人には、弁護士へのご相談をおすすめします。
交通事故被害に精通した弁護士であれば、あなたの後遺障害認定と慰謝料請求をしっかりサポートしてくれるはずです。