後遺障害慰謝料の金額・相場。後遺障害が残ると慰謝料はいくら支払われる?

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後遺障害慰謝料の金額・相場。後遺障害が残ると慰謝料はいくら支払われる?

交通事故で残った後遺障害に対する慰謝料を「後遺障害慰謝料」といいます。
後遺障害慰謝料の算定にはいくつかの算定基準がありますが、妥当な金額の後遺障害慰謝料を受け取るには、どの算定基準で後遺障害慰謝料を算定するかが重要です。
この記事では後遺障害慰謝料について、自賠責基準と裁判基準の基準額の差や、後遺障害慰謝料の相場、後遺障害慰謝料を請求する際のポイントなどをまとめています。
保険会社に提示された後遺障害慰謝料に納得がいかない方や、本来受け取れるはずの後遺障害慰謝料を知りたい方は、この記事を参考にしてみてください。

自賠責基準、裁判基準での後遺障害慰謝料の基準額

後遺障害慰謝料は、後遺障害が残った被害者の精神的苦痛に対して支払われます。
示談交渉で後遺障害慰謝料を算定する際は、後遺障害等級ごとに慰謝料の金額が設定されている「算定基準」を参考にします。
算定基準は、「自賠責基準」「裁判基準」「任意保険基準」の3種類があります。
自賠責基準は、自動車賠償責任保険(以下「自賠責保険」といいます。)が支払われる際の基準で、最低限の補償を行うことを目的とする基準です。
裁判基準は、過去の裁判例をもとに決められている基準で、弁護士は裁判基準を根拠に加害者側の保険会社と交渉します。
任意保険基準は、各保険会社が独自に設定している基準です。具体的な金額は保険会社ごとに異なり比較が困難なため、ここでは自賠責基準と裁判基準を比較して説明します。

後遺障害等級ごとの自賠責基準と裁判基準の比較表
  • 要介護の場合、自賠責基準は1級1650万円、2級1203万円です。
  • 2020年3月31日までに発生した交通事故の場合は、自賠責基準の金額が異なります。

自賠責基準と裁判基準の金額を比較すると、2倍以上の差があることがわかります。
任意保険基準の金額は、自賠責基準より高額な場合が多いですが、裁判基準より低額な場合がほとんどです。
十分な後遺障害慰謝料を受け取るには、裁判基準で算定する必要があります。

後遺障害慰謝料の相場

後遺障害慰謝料の示談交渉を弁護士に依頼した場合の、金額の相場を紹介します。

後遺障害慰謝料の示談交渉を弁護士に依頼した場合の、金額の相場表
  • 相場は「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」を参照し、独自に算出

弁護士に後遺障害慰謝料の示談交渉を依頼した場合、裁判基準の8〜10割が相場となります。
弁護士に依頼すると必ず裁判基準の10割の慰謝料が支払われるわけではありませんが、弁護士が加害者側の保険会社と交渉することで、加害者側の保険会社が提示する金額よりも増額されることが期待できます。
弁護士に依頼した場合、自賠責基準と比較すると、はるかに高額な慰謝料を受け取れます。

妥当な後遺障害慰謝料を請求するためのポイント

妥当な後遺障害慰謝料を請求するには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
主なポイントを3つ紹介します。

  • 後遺障害等級の認定が必須
  • 何級の後遺障害等級が認定されるかが重要
  • 裁判基準を根拠に示談交渉をすることが重要

後遺障害等級の認定が必須

後遺障害慰謝料を受け取るには、後遺障害等級の認定が必要です。
たとえ事故後に後遺症が残ったとしても、後遺障害等級の認定を受けなければ後遺障害慰謝料が支払われることは困難です。
後遺障害等級は、医師による検査結果や後遺障害診断書を専門の機関に申請した後、数ヶ月~半年程度で認定されます。

何級の後遺障害等級が認定されるかが重要

後遺障害慰謝料の算定は、何級に認定されるかが重要です。
後遺障害の等級は、後遺障害の症状や重さによって、1級から14級に分かれています。
等級ごとに金額が設定されており、より重い後遺障害等級(数字が若い後遺障害等級)が認定されるほど後遺障害慰謝料が高額になります。
後遺障害の認定結果に納得できない場合は、異議申し立てができ、再度認定を求めることができます。

また、複数の後遺障害が認められた場合は、各等級を併合した「併合等級」に応じた金額が支払われます。
併合等級は以下の基準で決まります。

  • 5級以上が2つ以上:重い方の等級を3級繰り上げる
  • 8級以上が2つ以上:重い方の等級を2級繰り上げる
  • 13級以上が2つ以上:重い方の等級を1級繰り上げる
  • 14級が2つ以上:14級のまま
  • その他:重い方の等級に従う

例えば、10級と12級の後遺障害が認定されると、13級以上が2つ認定されたことになり、10級を1つ繰り上げて、併合等級は9級となります。
2つ以上の後遺障害が残った方は、全ての後遺障害について等級の認定を受けるようにしましょう。
1つでも等級が繰り上がれば、受け取ることができる後遺障害慰謝料を増額できます。

裁判基準を根拠に示談交渉をする

交通事故の慰謝料は、まず加害者側の保険会社から提示されますが、この時の提示額はたいてい自賠責基準か任意保険基準をもとにしています。
弁護士へ依頼すると、弁護士は裁判基準を根拠に後遺障害慰謝料を算定して保険会社と交渉します。相手方保険会社としては、弁護士との示談交渉がまとまらなければ裁判となり、提示した金額以上の支払いを行わなければならないことを理解しています。そのため、弁護士が示談交渉を行うと、相手方保険会社が提示してきた金額からの増額が期待できます。

後遺障害慰謝料の場合、過失割合などの交渉に比べて裁判基準についての細かな知識は必要ないので、自分で示談交渉をしようと考える方もいると思います。
しかし、弁護士に依頼せずに、自分一人で示談交渉をするのはおすすめできません。
後遺障害慰謝料以外にも交渉の余地があり、過去の裁判例や個別具体的な事情なども考慮した上で交渉したほうが有利となることも多いです。
弁護士に依頼すれば、後遺障害以外のことも交渉してもらえますので、慰謝料を増額できる可能性が高くなります。

後遺障害が残った際に支払われる賠償金

後遺障害が残った際に支払われる賠償金は、後遺障害慰謝料だけではありません。
後遺障害慰謝料は、後遺障害が残ったことによる精神的苦痛に対する補償ですが、他の損失を補填する賠償金があるため併せて紹介します。

逸失利益も支払われることがある

後遺障害が残ることで、現在の仕事に支障をきたしたり、将来の出世が難しくなったりすることがあります。
そうして減ってしまう収入を「逸失利益」といいます。
交通事故のせいで将来の生活が苦しくなることがないように、後遺障害慰謝料と併せて請求することをおすすめします。

後遺障害に関係なく支払われる賠償金

交通事故の被害者がケガを負った場合は、後遺障害に関係なく加害者から賠償金が支払われます。
例えば、ケガによる入通院慰謝料や治療費、休業損害など、交通事故やケガで発生した損害を填補してもらえる権利があります。

弁護士に依頼すれば、ケガで動くことができない場合でも、弁護士が治療費や休業損害などの手続きを代わって行うことができます。

後遺障害慰謝料の請求は弁護士に相談がおすすめ

後遺障害慰謝料の請求は、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に依頼することで、裁判基準で後遺障害慰謝料が認められやすくなるだけでなく、逸失利益や他の賠償金の大幅な増額も期待できます。
また、後遺障害の等級認定の段階から弁護士に依頼すれば、適切な等級の認定可能性が高まります。
弁護士に依頼すると弁護士費用はかかりますが、後遺障害が残るほどのケガをしたケースでは、賠償金の合計額から弁護士費用を差し引いても、受け取る金額を増額できるケースがほとんどです。
また、加入している保険に「弁護士費用特約」が付いている場合、弁護士に依頼する際の費用は保険会社が負担してくれるため、弁護士費用を心配せずに相談できます。
気になる方は、無料相談を行っている弁護士に問い合わせてみてください。

交通事故で後遺障害が残ったら後遺障害慰謝料を請求

交通事故による後遺障害慰謝料について、自賠責基準と裁判基準の基準額の差や、後遺障害慰謝料の相場、後遺障害慰謝料を請求する際のポイントなどをまとめました。
十分な後遺障害慰謝料や他の賠償金を受け取るには、裁判基準で金額を算定する必要があります。
その際、弁護士に依頼することで、裁判基準で交渉できたり、妥当な後遺障害等級が認定されやすくなったりします。
加害者側の保険会社から提示された後遺障害慰謝料に納得がいかない方は、弁護士へのご相談をおすすめします。