交通事故では、明らかに加害者の責任で事故が起きたのに、被害者にも過失がついて納得できないことがよくあります。
被害者に過失がついてしまうと、被害者であっても慰謝料を支払わなければならず、ご自身の被害の補填に十分な慰謝料を受け取れなくなります。
この記事では、自動車事故における過失割合8対2の具体的なケースや過失を変更するメリットをご紹介していきます。
慰謝料に納得できない方や、示談交渉で過失割合を変更したい方は、この記事を参考にしてみてください。
交通事故の過失割合が8対2のケース
交通事故では、明らかに加害者の責任で事故が起きたのに、被害者にも過失がつくことがよくあります。
被害者に過失がついてしまうと、被害者であっても慰謝料を支払わなければならず、ご自身の被害の補填に十分な慰謝料を受け取れなくなります。
事故の状況や交渉によって過失割合を算定するのですが、過失はできるだけ小さいほうが望ましいでしょう。
過失割合が8対2になるのは、被害者にも多少過失があるケースです。
自動車事故における過失割合8対2の具体的なケースをご紹介していきます。
自動車対自動車
自動車対自動車の事故で過失割合が8対2になるケースをまとめてご紹介します。
加害者と被害者の区別がつきにくいケースもありますので、図を用いてご説明します。
一時停止を無視した直進車と同速度の直進車
一時停止がある交差点で、一時停止を無視した直進車と同じ速度で走る自動車が衝突するケースです。
一時停止のない道路を走っていた直進車が被害者となります。
両者が同じ速度の場合、過失割合は8対2となりますが、どちらかが減速している時は減速車の過失割合が小さくなります。
右直事故
交差点で対向車の一方が右折し、他方が直進して衝突する事故です。
お互い青信号の場合や信号機のない場合、過失割合が8対2で直進車が被害者となります。
ただし、どちらも赤信号や、右折信号のみ青の場合は、加害者と被害者が逆転するため、事故の状況はしっかりと伝えるようにしましょう。
非優先道路からの進入車と優先道路からの右折車
優先道路のある交差点で、非優先道路からの進入車と優先道路からの右折車が衝突するケースです。
右折車と直進車のケースですが、右折する優先車が被害者で、過失割合は8対2となります。
優先道路でない自動車のほうがより注意深く運転しなければなりません。
あらかじめ左側に寄らない左折車と後続直進車
交差点に限らず、路外に出る時なども、左折車はあらかじめ車体を道路の左側に寄せなければなりません。
あらかじめ左側に寄らずに左折し、後続の直進車と衝突した場合、後続の直進車が被害者で過失割合8対2の事故になります。
また、右折車はあらかじめ右側または中央に寄らなくてはいけないため、車体を寄せずに後続の直進車と衝突した場合、過失割合は8対2で後続直進車が被害者となります。
T字交差点で直進車と狭路からの右左折車
T字交差点で、狭い道路からの右左折車と広い道路の直進車が衝突するケースです。
狭い道路の自動車は右折・左折に関わらず、被害者は直進車で、過失割合は8対2になります。
同幅のT字交差点の場合や、一方が優先道路の場合は、過失割合が変わります。
路外からの進入車
路外から左折・右折で進入する自動車と直進車が衝突するケースです。
直進車が被害者で、過失割合は8対2となります。
路外からの進入車が顔を出して待機していたり、すでに右左折していたりすると、過失割合が変化します。
転回(Uターン)車と直進車
道路で転回(Uターン)する自動車と直進車の衝突事故です。
直進車は対向車、後続車にかかわらず過失が2割つきます。
一方通行を逆走する自動車
一方通行の道路を逆走して交差点に進入した自動車と衝突したケースです。
一方通行を逆走した加害者のほうが明らかに過失が大きいですが、被害者にも2割の過失割合がつきます。
自動車対バイク
過失割合が8対2となる、自動車対バイクの事故をご紹介します。
左折する自動車と直進するバイク
交差点を先行する自動車が左折する際、後続の直進バイクと衝突する巻き込み事故では、自動車が先に交差点に侵入していたら過失割合は8対2となります。
自動車がバイクよりも後方から左折しようとしていたら、過失割合は9対1となり、左折の合図を出していなかったり、大回りで左折していたりした場合は、さらにバイクの過失割合は小さくなります。
進路変更する先行自動車と後方直進バイク
同じ方向に進む自動車とバイクの事故で、先行する自動車が進路変更することで後方直進バイクに衝突するケースです。
複数車線の道路で車線変更する自動車と衝突することが多いです。
広い道路のバイクと狭い道路の自動車
信号機のない交差点で、広い道路を走行するバイクと狭い道路を走行する自動車が衝突するケースです。
バイクが被害者で、過失割合は8対2となります。
どちらかがスピードを緩めていたり、優先道路であったりするときは、過失割合が変化します。
追越禁止の道路で後続バイクが追越し
このケースは自動車よりバイクの過失割合が高くなります。
追越禁止の道路で先行の自動車を追い越そうとしたバイクが衝突した場合、自動車が被害者で、過失割合は8対2となります。
追越禁止ではない道路であれば、バイクの過失割合は7割となります。
自動車対自転車
過失割合が8対2となる、自動車と自転車の交通事故をご紹介します。
信号機のない交差点で直進していた自動車と自転車
信号機のない交差点で自動車と自転車が直進して衝突するケースです。
信号機のない交差点では、自転車も横断歩道を通過する時以上に十分注意して道路を横断する必要があります。
信号機のない交差点で右折する自動車と自転車
信号機のない交差点で左右どちらからでも右折してきた自動車と自転車が衝突すると、過失割合が8対2となります。
右側通行の自転車と自動車
自転車が右側通行をしており、向かい側から直進してくる自動車と衝突したケースです。
自転車のほうが交通ルールに違反していますが、自転車が被害者になり、過失割合が8対2となります。
自動車対歩行者
自動車と歩行者の交通事故で、過失割合が8対2になるケースをご紹介します。
場所が住宅街や時間が夜の場合など、事故の状況によって過失割合は変動します。
交差点以外の道路を横断する歩行者と自動車
交差点以外の道路を横断する歩行者と自動車が衝突した際は、歩行者が被害者の過失割合8対2の事故になります。
歩行者が横断歩道上を渡っていれば、過失がつかないこともあります。
バックする自動車と歩行者
自動車のすぐ後ろを通る歩行者とバックしている自動車が衝突するケースです。
基本的に8対2の過失割合となりますが、自動車がバックするタイミングや自動車の合図などで、歩行者の過失割合が増えることがあります。
過失割合は示談交渉で変更できることがある
過失割合は、事故の状況によりある程度決まりますが、示談交渉次第で変更できます。
事故発生後はまずお互いの保険会社を通じて交渉をするのですが、加害者側の保険会社は被害者に不利な過失割合を提示してくることがあります。
過失割合が8対2と提示されて納得がいかない場合は、きちんと根拠を示しながら事故の状況を主張することで、9対1や8.5対1.5にくつがえせる可能性があります。
過失が減る、なくなると受け取る慰謝料が増える
過失割合は慰謝料の金額を決定します。
過失割合の変化で慰謝料がどのように変わるのか具体的に見てみましょう。
過失が軽くなれば、受け取る慰謝料は増える
交渉により過失割合が小さくなると、支払う慰謝料が減り、受け取る慰謝料が増えます。
具体的には、過失割合が8対2でお互い100万円の損害がある場合、加害者から支払われる慰謝料は100万円×80%=80万円で、被害者の保険から支払う慰謝料は100万円×20%=20万円です。80万円受け取り、被害者が加入する保険から20万円を加害者に支払うことになります。被害者が歩行者で、使える自動車保険がない場合は、20万円を負担することになり、手元に残る慰謝料が60万円になる可能性もあります。
仮に9対1の場合は、被害者が受け取れる慰謝料は90万円となるため、できるだけ過失割合が小さい方が被害を補填できるのです。
過失が10対0になる場合のメリット
交渉により過失割合が10対0になった場合、十分な慰謝料を受け取れるだけでなく、交通事故の点数の加算や自動車保険を利用せずに済みます。
交通事故の被害者にもかかわらず点数が加算されたり、翌年の自動車保険の保険料が高くなったりするのは避けたいです。
過失割合の示談交渉は弁護士に相談
交通事故で過失割合や慰謝料の交渉をする場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士へ依頼すると、裁判基準という、本来裁判を起こした際に受け取れる慰謝料で示談交渉を進めてくれます。
初めて交通事故に遭った方は、保険会社同士の交渉結果を見て、こんなものかと納得してしまう方もいますが、本来受け取れるはずの慰謝料を知らず知らずのうちに諦めているかもしれません。
過失割合の変更を認めてもらうには、根拠を提示しなければなりませんが、被害者側の保険会社や被害者自身でその証拠を集めるのは難しいでしょう。
本来被害者が受け取るはずの慰謝料で交渉したい方、弁護士に相談してみましょう。
過失割合に納得できない時は示談交渉
この記事では、交通事故の過失割合が8対2になるケースをまとめてご紹介しました。
また、過失割合は示談交渉次第で変更でき、弁護士に相談することで本来受け取るべき慰謝料で被害を補填できる可能性があります。
慰謝料に納得がいかない方や、本来受け取れる慰謝料の金額を知りたい方は、一度弁護士に相談してみてください。