交通事故によるケガの中でも多くの被害者を悩ませているのがむちうちです。むちうちは、人によって症状が異なることや発症するまでに時間がかかることがあり、判断が難しいケガとされています。
ここではむちうちの疑いがある事故被害者の方々に向けて「むちうちの症状はいつから出るか」、「後から症状が出たらどうすればいいか」などをお伝えしていきます。
むちうちの症状はいつから出る?
むちうちは、追突事故などに遭った際に首に大きな負荷がかかることで受傷するケガです。
交通事故によるむちうちで気をつけたいのが、事故直後は症状が見られず、後日、痛みやしびれなどを発症するケースがあることです。
事故後、いつから発症するかは人それぞれです。
交通事故から1週間や2週間が過ぎてから症状が見られることも珍しくありません。
また、むちうちの症状は、首や肩の痛みやしびれだけでなく、頭痛やめまい、吐き気などさまざまで、「交通事故とは関係ない」と思っていた体調不良の原因が、むちうちだったということもあります。
もし、交通事故にあわれて間もないタイミングでこの記事をご覧になっていたら、今は無症状でも、しばらくは体調の変化に注意してください。
むちうちだと後からわかる理由
なぜ、むちうちは時間が経ってから発症することがあるのでしょうか?
むちうちは医学的にも判断が難しいケガとされていて、さまざまな症状を発症することや時間が経ってから発症することの原因は明確ではありません。
また、「アドレナリンが出ていて痛みを感じない」と聞いたことはないでしょうか?
極度の緊張状態や興奮状態にあると、アドレナリンが出て痛みなどに気が付かないことがあります。
たとえば、ケガをしたスポーツ選手が「試合中は痛みを感じなかった」ということがあります。
これが交通事故の直後も当てはまります。
事故直後は、まさかの出来事で興奮状態になっていて痛みを感じず、家に帰って気持ちが落ち着いた後などに、痛みに気づくことがあります。
事故直後の診察・検査ではわからないことも
むちうちは、レントゲンやMRIなどの検査結果による医学的な証明(他覚症状と言います)をできることが少なく、多くのケースでは自覚症状しかありません。
そのため、事故直後に病院で画像検査を受けても、むちうちに気がつけないことがあります。
また、先ほどお伝えしたようにむちうちの症状はさまざまです。
頭痛や吐き気があっても「交通事故とは関係ない」と自己判断してしまって医師に伝えず、むちうちが原因だとわかるまでに時間がかかってしまうこともあります。
後から痛みが出たときにやること
交通事故の直後には感じなかった首や肩の痛みやしびれ、そのほかの体調不良を感じたら、それはむちうちの可能性があります。
体調の変化に気が付いたら、すぐ病院に行きましょう。
ケガの治療は早いほうがいいですし、事故から日にちが経つほど、交通事故のむちうちで症状が出ていると証明しづらくなります。
また、むちうちの症状が見られることを保険会社にも伝えましょう。
整形外科へ行き、症状を伝える
病院では、いつから自覚症状を感じたかなどを、こと細かく伝えてください。
交通事故とは関係ないと思っていた症状が、実は事故によるむちうちが原因だったということもあります。
初診の場合は交通事故にあったことを忘れずに伝えましょう。
また、むちうちは整骨院での施術が有効な場合もありますが、整骨院に行くより先に必ず整形外科で診察を受けてください。
整骨院の先生は医師ではないため、症状がむちうちだと診断をすることはできません。
すぐ病院に行き、「交通事故が原因のむちうち」と医師に認めてもらいましょう。
また、整骨院に行く前には必ず医師の指示を確認してください。医師に無断で整骨院に行った場合、むちうちの治療に必要な施術であると相手保険会社に認めてもらえない可能性が高いです。
保険会社に連絡。警察で手続きが必要な場合も
相手保険会社への連絡も忘れないようにしましょう。
伝えずに通院していると、治療費や慰謝料の支払いを拒否されるなど、トラブルになってしまうおそれもあります。
伝えた場合でも、「慰謝料がほしいから、今頃むちうちだったと言っているのではないか」と疑われることもあります。
その際は、病院の診断結果などでむちうちを証明しましょう。
また、事故時はケガがないと思っていた場合、警察では物損事故(物件事故)として処理されています。
保険会社がむちうちによる慰謝料の支払いを認めないときは、警察で物損事故扱いから人身事故扱いへの変更手続きを行って、慰謝料請求をすることがあります。
むちうちの治療費・慰謝料の悩みは弁護士まで
何日以内にむちうちの症状が出るなどは決まっていません。
「雨の日だけ痛みが強くなる」など、気候で症状が変わることもあります。
目に見えない症状で、それがすぐに発症するとは限らないのがむちうちの厄介なところ。
後から体に異変を感じた場合は、1日も早く病院で診察を受けましょう。
保険会社の治療費や慰謝料の支払い拒否などで困ったときは、弁護士に相談をしながら解決していくのがおすすめです。